電気主任技術者  水槽ポンプアップ空転対策

ビルの中には汚水ポンプ、雑用水ポンプなど排水を貯めてから屋外下水管に
ポンプアップして捨てる設備があります。
通常こういう排水槽には受水槽にある様な減水警報がほとんどでありません。
もしここでフロートや電極異常などで水中ポンプが停止せず水がないのに水中
ポンプを運転継続(空転)した場合、最悪モーターを焼いてしまいます。
こういう排水槽のポンプが空転した場合の対策として私が勤務する現場では
中央監視PC側の設定でこの様に対応しています。
ポンプが運転すると現在値Aがカウントアップしてその値が設定時間Bを超え
ると警報が出るわけです。
つまり15分以上ポンプが連続運転すると警報が出るという意味です。
排水槽の運転時間は決まった量を排出するため固定に近いのでもし15分
が正常運転時間なら20分程度に設定すればいいのです。。

技術部長から〇〇支店の管理物件で排水槽の水中ポンプが空転で焼けて
しまったのだけど堆積物状況からパン屋さんのパン粉が原因でそれに
フロートが引っ掛かり発生した可能性が高いとの話でした。
写真でその槽内の状態を見たけどWC用の汚水槽では絶対にない状態。
私が勤務する現場でも飲食関係の雑用水槽では油が冷えて固まりポンプ
吸込口を塞ぐ異常は時々発生します。そのビルのケースもありえる事故!
テナントとその件での対策とポンプを交換する手配はしてるが排水ポンプ
が空転したら知る術をこの現場にも設置してほしい
という私への相談でした。
(他に即そういう事ができそうな人が私しかいないとも言われました)

部長が言うそこは新規に受諾した物件ですべて個別空調、簡易表示モニター
のみでポンプ運転時間警報が出せないので現地盤で細工が必要です。
業者に改造をしてほしいと依頼したらあまり良い返事がなくてポンプ取替
工事には間に合わないそうです。
既存からの改造というのは責任を伴うので業者も嫌がるのはわかりますが
それで現場設備担当の方も困っていらっしゃるとの状況だそうです。

タンクに液体を貯めて、電極やフロートでポンプを運転する制御では決まった
量を送水するわけですから運転時間というのはほぼ一定なのです。
それが5~10分も長く運転してるというのは何かの異常が発生しています。
ビル管理ビギナーの方はよく覚えておいてくださいね。

水源がポンプ本体より下にある場合は吸込口にフート弁というのがある
のですがこれが故障するとポンプが起動しても水を吸上げる事ができないた
め水中ポンプと同じくポンプが空転状態となります。
ただ違うのはモーターは空冷なので大丈夫だけど今度はポンプグランド部が
焼けて酷い場合はポンプ一式取替となります。
空転というのは警報が出ない、滅多に発生しないので意外と気がつけない。
とにかく少しでも早く空転してるポンプは停止させないといけません。

工場に勤務してた時に高架水槽減水警報が出た事があります。
原因は上の様に水が揚水できないのに屋上にある高架水槽の水をどんどん
使用したせいです。
平日なので割りと早い段階でその故障に気がつけましたがもし工場が休日なら
水の使用がほとんどないので高架水槽減水警報も出ずに空転が長期化して
揚水ポンプを焼いていたかもしれません。
この後で父が行った対策がタイマーを設置する事で通常の揚水時間以上運転
したらMCBのAL接点を短絡させてポンプ室で何かの異常が発生した事を監視
室で知るという方法でした、今回はあの時の方法を採用します。
後半では警報ではなくて空転した場合に直接ポンプを停止させる方法
を私なりに説明してみました。まずは警報を出す場合について話を進めます。


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で部長いつですか...悪いけど明日ポンプ工事なんだけどなんとかできる?
今営業できないから早く修理と対策をしたいのだよ。と言われました。
まったく資料も何もない依頼で明日ではパーツ手配が私も無理です。
でもある物でなんとかできないか昼から工夫してみました。
現場の回路図はないけど2台の水中ポンプを自動交互運転するマグネット
があるわけでその運転を検出するのならこうすればいいと思いました。
(マグネットのコイルを励磁する程度で主回路の三相電圧がアンバランス
にはならないです。)

リレーがないのでもったいないけど今回は在庫にあった三菱のマグネットを
使う事にしました。
各a接点をパラ接続にして制御回路の電圧をタイマーにかけた場合に設定
時間を経過してポンプが運転したらタイマー接点はONとなります。
これを利用して人がいる場所に異常を知らせ様というわけなので可能な物
ならばどんな警報接点でもいいのです。

たとえば満水警報端子を短絡させたら、人がいる別室でも満水警報が出ま
すから誰でも警報発生現地に確認に行く事となります。
ただ満水警報ではポンプ強制2台運転となりますのでAL接点付のMCBが
あればそれを利用してもMCBトリップでも警報を別室に出せます。
(その場合は実際のトリップではないからMCBは切れてない)
ただ現地に行ってからでないとそれは今は選択できません。
逆にポンプを止めてしまう事も可能ですがそれは最後に説明をします。

とりあえずこの木の板の上で仮に作成してみる事にしました。
このタイマーは私が工場から転職する時に父から何かの役に立つかもと
もらったパーツの中に偶然にあったタイマーでかなり古いタイプだけど新品。
電源をかけてみたら正常に動作したの今回はこれを利用する事としました。

タイマー本体横記載を確認すると2-7間が電源で電圧をかけて設定時間に
なると8-6間が導通状態となるN.O.接点
なのがわかります。
動作して何か回路を切る逆の動作をさせたいならば8-5間のN.C.接点を
利用しますが今回は関係ありません!3-1間は通電したら即動作する単純な
a接点もわかるでしょう。
尚、N.O.はNormal open、N.C.はNormal closeと呼びますがこの言葉
は電気パーツでよく見るので覚えておきましょう。

あれタイマーのソケットがない、ただもうこのタイプは製造してないでしょう
どうせ買えても間に合わないですからハンダで接続を行う事にしました。
(ハンダは手で触るとしっかり接続できたのでこれでいけると判断しました)

後は中学生でもわかる単純な配線接続だけです。

一応完成しました。三菱製のマグネットはネジ部にすべてカバーがあり埃防止
されてるため、マグネット取替で私はこれを最近使います。

私が管理する現場にある盤回路で検証するとこう接続すれば....
排水ポンプのため自動交互運転を行う、マグネットM1又はM2が
投入されると配線1又は2で200VがかかるのでマグネットX1又は
X2が投入される。そのためX1とX2の主接点はON(導通)となる。
制御電源からの電圧がそれらの接点を経由してタイマーに通電
されその時間が設定以上となると配線3のタイマー接点がONと
なります。
すると満水端子を短絡させる事となるので異常が発生した事を
知らせる事ができます。(明日は違う警報に接続するかもしれない)
尚、ポンプを停止させたら1又は2の配線の電圧が消えるから警報
リセットとなります。
現地の状況がわからないのですがこの方法ならどんな回路でも
取付可能のはずです。とにかく明日は出張して取付をしてきます。

時間あれば普通の200Vのリレーを購入して作成するのでこんな普通
のマグネットを使う必要はありません。
もちろんこうであるからと使用上の問題はないですがそれだけ寸法が
大きくなるので取付場所のスペースが少し気にはなりました。
せっかくのパーツでも盤の中にすべて収まらないのでは使えません。
...電話で相手担当に聞いたら十分空間があると言われてはいました。

タイマーはソケットがないため横位置で取付だけど取付面がフラットなの
で工業用のアクリルテープで盤に十分に固定できます。
ただマグネットは無理なので鋼板にネジ穴を作成するための切れるMY
ドリル刃とネジのミゾを切るためのタップは忘れずに持参します。
その前にドリルとか相手は持ってるのか?聞いてみないといけません。
受けたばかりの現場では工具が満足にそろってない可能性があります。
配線接続より取付で問題が発生する事がこういう作業では多いのです。

今回のテーマーの排水ポンプ空転防止において警報ではなく排水ポンプ
を空転時に停止させる場合少し工夫が必要です。

単に制御回路をN.C.接点で切っただけでは確かに一旦はポンプは停止
しますが同時にマグネットが切れるためタイマーの電源も切れN.C.接点
はすぐに復帰してしまいます。
するとN.C.接点は導通状態となるので電極側の異常はそのままですか
らまた排水ポンプが再度運転してしまいます。
私ならこう組みます。
タイマー接点でリレーRを起動させてそのb接点でマグネットの既存コイル
電源を切る。ただ★リレーRは切れない様に自己保持させる事とします★
こうすればタイマーがOFFとなってもポンプは絶対に再起動しません。

私が再起動をなぜ懸念するかと言えばたとえば夜中に空転が発生して
その時に仮眠をしていた場合、まったく気がつかずに再起動を何10回も
繰り返したらいくら5.5KW程度のモーターでも焼けてしまわないかです。
異常が発生して自動で機械を停止させる場合は停止状態を保持する
仕組みが必要
と思います。
同時に警報を何かで遠方で出すならばリレーRのa接点を利用すればでき
ます。(尚、回路リセットは制御電源を切れば可能)

何かの機械が指定時間以上に運転継続したら警報を出す又は強制停止
させるなども同じ理屈で可能なのはもうわかると思います。
機械を止めたいなら前述したタイマーのN.C.接点をモーター制御回路
途中に挿入します
.....手動停止OFF回路の真下位置などに
下の様な単独機械ならばマグネットMCM二次側の2線から単相200Vを出
してそれを直にタイマー電源にすればいいです。

つまり正常時は閉じて運転条件のみで通電してますがタイマーが動作す
ると開いて通電が強制停止するのでOFFボタンを押したのと同じになる。
たとえばスターデルタ回路で説明するとこんな感じですね。
(回路切断してN.C.接点からの2線のハンダづけが一番簡単にできます)
水槽設備空転では故障箇所があったのでN.C.接点をこの位置に設置で
きなかった違いはもう理解して頂けると思います。


ONボタンを常時短絡させてOFFボタンを撤去し変わりにタイマーのN.O.接点
を挿入します。そのタイマーはTB15601の様な時計式にすれば指定時間に
自動で起動と停止が可能なスターデルタ回路にもできます。

後設置した厨房排気ファンが既存の中央監視で起動する排気ファンと連動
していたのですが運用上の不都合が最近発生してその時に後設置側を
こういう制御に最近変更しました。
中央監視から遠隔操作可能にするにはかなりの費用がかかるし様は自動
で起動、停止すればいいだけですから現地で私が変更を行いました。

ハンダづけは精密なピンポイント作業は別として配線を接続するだけなら
小学生でもできる作業です。未経験の方は覚えておきましょう。まして電験
三種を持っていると言う方ならば...意外と電気実務で役に立ちます!
コテで接着したい範囲を先に過熱する、そこにハンダを流すのが基本操作。


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