2018年2月1日木曜日

電気主任技術者とは~初めての着任

今日の記事は施設管理で電気主任技術者をされる方が対象です。
施設管理とはテナントビル、デパート、病院、ホテルなど第三
者が利用する建物を管理するお仕事です。電気主任技術者とは
でもその計画はNETや本で読んだ事から連想された内容でしょ
うね。間違いではないけどそれだけでは不足なのです。
保安規定順守とか月次点検、年次点検その他etcは私もブログ
で触れてきたので今回はそういう内容は述べません。

1.電気主任技術者とは職種であって会社の役職ではない
会社員である以上は縦の関係で何事も上司への報告と許可
が必要です。法律でいうとこの電気主任技術者の権限を電
気主任が独断でオーナーやテナントに行使してはいけません。
それができない方は会社で働くのは無理です★貴方が技術
部長兼電気主任という立場なら別ですが、入社した段階では
電気主任立場を考慮されても、良くて主任じゃないですか?
それと建物の電気設備最終責任者は通常所有者であって重大な
決定はその方がします。保安規定上、電気主任はその方の保安
業務を補助する立場です。意外と保安規定の内容をオーナー
も知らないで何でも管理会社の電気主任の責任にしたがりま
すが大前提として、誰がその建物の最終責任者なのか確認は
しておかないといけません。

2.前任電気主任技術者の引き続きは期待しない
たいてい貴方が着任して1ヶ月も相手がいればいいほうです。
停年退職以外では彼も次の転職先の事しか考えてないので
ざっと施設の場所や癖を説明してくれて、保管書類の場所
程度の説明がありますが、原則それらで勉強してください
で終わりです、わからない事があれば質問してくださいは
あると思います。そう貴方は電気を知る者として電気主任
として現場に雇用されたのですから素人ではないのです。
後任者が円滑に学べる様なマニアルがあればいいのですが
そういう物が完全にある現場はほとんどありません。特に
ビルの電気主任技術者では電気担当以外の方は電気の深い
部分をする必要がないので電気主任だけが知ってればいい
状態がほとんどのためマニアル化されてない事が多い。

ですから経験の浅い方が電気主任をされる場合は工場、病院
飲食関係のある施設の電気主任技術者はなるべく避け完全事
務所ビルでまずは経験を積んだ方がいいです。
前任者が退職
されたら後は貴方が電気的トラブル発生時は中心となり対応
しないといけないのです。ここができなくて1ヶ月で退職と
いう事例は珍しい事ではありません。トラブルでない計画的
な事は自分のペースでいけますがトラブルは相手の都合に合
わせて即貴方の行動力を試されるのです。保安規定にもそう
いう場合は電気主任技術者がまず対応すると明記されています。

3.一番重要な事は職場、オーナー、テナントとの円滑な人間関係
更にビル、病院、デパート、ホテルで働く電気主任は雇用されて
る会社がサービス業種である点を強く意識してください。

自分は電気の理屈は一番詳しいという慢心があると言動や態度
で出てしまいます。職場でそうならば"お前が建物の電気責任者
なのだから好きにすれば"となるのが一番いけません。そう孤立
した状態となれば困るのは自分です、施設の適正な電気保守は
仲間の協力なくして成しえないのです。又そういう態度でテナ
ントに高圧的に接していると態度が悪い、こちらの要望を無視
してばかりとオーナーへクレームが発生するのは時間の問題。
博学は良い事ですがビルの主人公はテナントや利用される客
である大前提に気がつかないではサービス業の意識を忘れてる。
電気主任技術者とはビル利用者の快適環境実現のためにあり
それがオーナーからビル管理会社の命令でもあります。
電気主任と管理会社の意識スタンスが異なっていてはその人
を解任し、可能な新しい電気主任に変更するしかありません。
これは時々ある事なので肝に銘じてください。

4.ビル管理にはどこの現場もグレーゾーンがある。
契約ではテナントと管理会社にはメンテ契約がないとすれば
部屋の分電盤一次側までが電気主任の責任でテナント室内で
発生した電気的なトラブルは関係ない、極論すれば"私ども
の会社は御社と管理契約はしてないので漏電なんて知りません"
でも問題ではないのです。ですがそんな対応で管理してるビル
管理会社はありえないです。もしそんなテナント対応をしてた
らオーナーは違う管理会社への検討をされます、その前に管理
会社の方で問題意識のある人間は現場から外されます、電気
担当となるとそうしたグレーゾーンに触れる事は頻繁です。
私はあまり難しい事は考えないで困った方がいるならば微力
ながらお手伝いします意識で働いています。そういう気持ち
がテナント相手の施設電気主任技術者には必須です。

もし何かあったら?ですが人間って一生懸命対応してくれた
相手に仮に結果を出せなくてもだから弁償してほしいという
事はない、私の場合は1件もなかったです。人間の気持は
デジタルではないのです。もちろん適当なデタラメ対応は
ダメです、誰にも行動の根拠を説明できる方法をした場合
という話、逆にテナント様に助けられた事も多々ありました。
グレーゾーンとはある意味現場の潤滑剤。もし末端まで完全
マニアル化して一番困るのは管理会社の★現場の人間です。
完全マニアル化すると想定外が発生した時に対応ができない!
日本人には都合の良いグレーゾーンが必要だと思います。

5.電気主任技術者の業務は自主保安体制である
ボイラーや消防設備の様に定期的に検査官が来館して検査した
り点検結果報告書の提出義務は実はありません。もちろん波及
事故や電気火災でも発生させた時は立入検査となるので粗悪な
管理をしていた場合は、その時には判明し改善されるまでは建
物の電気配給は停止という処分になるでしょう。ですから
年次点検とか費用がかかっても業者にさせています。ただそう
いう大規模な事故は滅多にないので小さな部分では適当な管理
をしていても誰からも文句は言われないです。大手のビル管理
会社では定期的に本社技術部が来られて自主査察とかするため
雑な状況はなくても、そういう事までしてない現場丸投げな
会社では電気保守管理をまともにしてない職場割とあります。

もし貴方が着任した現場で数々の好ましくない状況を発見し
てもそれをすぐ上司に報告してあれこれ騒がない方がいいです。
貴方が経験10年以上で相当なベテランなら話も違いますが経験
の浅い人が本やNETでの情報だけを根拠に職場改善を入社早々
進言すべきではないです。1年は黙って様子を見て少しづつ
改善を提案していくのが人間関係に亀裂が入らない方法です。
10年選手の先輩に"新米のくせにお前何様なんだよ"と言われ
たら貴方どう返答しますか?_改善を職場否定と抱くベテラン
がこの業界は意外と多いので焦らない事です。

6.人間関係に亀裂が入らない大人の対応で働く事です。
時には気持ちと行動に嘘があってもいい、過去の体制を改善し
自らを認めてもらには、日々の仕事態度、トラブル対応能力
適切な判断力を通して貴方が本物である事を示す必要があり
ます。
電験二種を持ってるから、この資格があるからそうい
う事で人は貴方を心底認めない、貴方の誠実な職務態度に仲
間、オーナー、テナントが感化されていくには3年はかかり
ます。人が他人を認めるのは行動の結果だけです。

★本当の信頼とは事前に準備できないのです★信頼とは相手の
心の基準から生まれる物で、自分が事前に準備したすべてはあ
くまで自分が基準、だから必ずしも認められない、ですが行動
の結果という事実は何者も否定できない。その結果とはその場所
の相手に利益(営業なら売上)や恩恵(設備なら問題解決や改善)
をもたらした結果である事。だからまずはその場所に行ってから
就職後から信頼構築が始まるのです。仕事とは人が絡むので難
しい。ですがどんな仕事にも言える事で特別な事じゃないです。
資格や技術があれば人間関係の面倒が減るのではなくそれを生
かす事で新しい人間関係が発生する、人の目からは逃げられない。


7.上司に提出する書類はその上司が満足する物を作る。
世間の全員が貴方の報告書を適正と認めても貴方の上司が気
にいらないとそれを受理してもらえません、つまり前の会社
なら褒められた内容も会社が変わればダメもありえます。
私の上司は元1級建築士で技術にも精通されてるので私の
考え方を認めてくれますが、そうでないと災難ですね。でも
会社ですからこれは運であり仕方ありません。その上司も
自分の上司から同じ扱いを受けているのです。それが度を
越せば転職理由になる、働き難いという話ですね。会社と
いう組織で働く以上は、程度の差はあれどこでもあります。

電気主任技術者とは、以上7点を事前に意識しておけばある
程度は柔軟な気持で対応できるのではないでしょうか?
貴方の検討を祈ります。

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