2017年4月21日金曜日

中性線欠相保護付ELB

昔ある飲食店から金属のカウンターに触れると時々ビリビリすると連絡が
あり至急調査をしたらカウンター下にある業務用冷蔵庫のコンプレッサー
が起動した時に間欠的に発生してるのが判明しました。
(検電器でそのカウンターにしばらく触れていたら反応もしました)
ただ店長から言われたのがどうしてELBが動作しないのか?という質問!
電源には30mAのELBがありますがこれが動作するのは実際15~30mAで
人間が電気を感じるのが1mAから、今回はトリップ値に達してない値のため
動作しないのです。(ただ冷蔵庫はメーカー修理まで使用禁止)
対地電圧100V回路・絶縁が0.1MΩの基準限界でさえ漏電量は1mAなので
ELBは動作しないのはわかると思います。

又、接地していても変圧器のB種接地と機器側D種接地の抵抗値比率で
機器接触電圧は発生するので接地があっても0Vにはなりません。
念のため接地が効いているかテスターでコンセント非接地と接地極で100V
があるか確認はしておきます。

工場に勤務してた時に父から教えてもらった事ですが人体の通過電流mA
と時間秒を掛けて30になったら危険
との事です。
家庭についてる30mAのELBは1秒以内に動作するなら安全という事で1mA
の漏電なら30秒間触っていたら危険という話になりますね。
その話って本当?と聞いたらある専門書を見せてくれて確かにそう記載して
あったので父の思い込みではないです。テナントに説明する時に使うネタ!

たとえばこれはテナント分電盤のメインELBですがこの場合は主幹で50mA
までの漏電では動作しないけど50~100mAで動作して回路をトリップさせる
動作をします。(中性線欠相保護付記載に注目!)
人間が電気を感知する1mAで動作する様にしたら漏電以外の漏れ電流もあり
頻繁に電源が切れていては営業活動ができません。安全を追求すると制約!

これは子にELBがない一般テナント用分電盤ですが職場での勉強会用です。
こういう盤の中には下の様に真ん中のバーに配線が接続してあります。
(古いタイプの盤ではない事が多い)これは中性線が断線事故を起こした時
に単相三線式回路に接続されるコンセント機器に異常電圧がかかるのを
防止します。135Vになると0.5秒以内で上のELBでは動作するという意味。
メーカー説明によると過電圧検出リード線はバーの末端に接続しなさい。
とあるので厳密に言えばこうです。

こういう盤を設置する対地電圧が150V以下、乾燥した使用場所のテナント
では各子回路は100Vメガで測定して20MΩ以上で当然です。

新設工事後に機器を接続してない状態で業者が測定する絶縁抵抗報告書でも
必ず500Vメガで各回路は100MΩ以上あります。
最初はそんな状態がいくら経年劣化と言えど1MΩ未満になるのは不自然ですし
0.2MΩだから異常なし(法定0.1MΩ以上)とは実際現場管理をする上ではでき
ません。あくまで人間の感電点検で機器異常の程度を知る検査ではない!
又正常な製品単体が新品時絶縁抵抗値が0.1MΩしかないなんてありえない。
例外なく新品時点では100Vメガで測定したら20MΩ以上あります。
飲食店の様にネズミなどのかじりもないので床の配線を重い台車で踏んだり
コンセント内部に故障がないならば接続使用してる機器(電源プラグを含む)
に異常が発生しているのです。

私の経験上、0.1MΩや0.2MΩの絶縁抵抗値を放置したら更に低下していずれ
電源配給元変圧器で低圧地絡警報LGRが出る可能性大です。
この状態まで行き更に放置すると1000mA漏電となり結局、自分が苦労する事
になるので異常の芽は早い段階でCUTしたいのです。
法定基準値以上少しでもあればすべて正常として扱うかはそこを管理する現場
の電気主任技術者の判断
なので前述はあくまで私の判断基準です。
(法的には対地電圧100Vの単相三線式回路は絶縁抵抗値は0.1MΩあれば
いいという判断は正論です...内線規定では1MΩ以上が好ましいともあり)

私の保守範囲は22000V~100Vまでです。
トラブルというのはビル現場では対地電圧100Vの回路がほとんどです。
電気設備安全管理においては対地電圧で物事を考える癖をつけましょう。


あるテナントが退店するので現状回復工事前に昔依頼で取付した照明
タイマーの回収をしました。外したらVAを元のMCBに接続しておかない
と壁タンブラSWで照明点灯ができないのはわかると思います。

まずタイマー電源元の配線接続を見るとこのタイマーを取付けされた人は
逆にされています。職場の誰かでしょうが今更それを言っても仕方ない?
このMCBはL、Nと記載がある2P1Eの100V用MCBですが黒がLで白がNで
ないといけません。
下の電気屋さんの配線はそうなっているでしょう。

今回は負荷電流が少ないため1個のタイマーに2回路接続されていましたが
各VAを元接続してあったMCBに接続する時に回路1と回路2が混ざらない様
に注意します。
回路1の黒と回路2の白を同じ1回路と間違えそうな人がいそうですね?
照明回路とは違いますがたとえばコンセントのELB回路で混線をさせ接続
したら2線の電流値が異なるので漏電トリップが動作するのも理屈として
頭の隅で理解しておきましょう。

ここの照明は100VのMCBしかないからいいけど200Vの照明MCBに100V
照明のVAを接続したら蛍光灯の安定器は焼けます。

LED器具やFHF照明器具はボルトフリーだけどそれら以外の普通の蛍光灯
FLやFLR照明器具を使用されてるテナント、店舗はまだあります。
又電験三種の資格がある人が単相三線式のバー接続を見て100Vか200V
かわかならいのは恥なので気をつけましょう。(Blue矢印の事)
モーターの内部構造を知らなくても実際問題そう困る事はないけどこうした
日常的設備の基本的理屈は知っておかないと事故の原因にもなります。
とにかく配線を外して再度取付する時はあった位置に取付する常識は守らない
といけない、うっかりミスがなくならないから電気事故はなくならないのです。
届け出されてる電気事故が毎年1万件もあるのはご存知でしたか?

以前も説明しましたが100Vの2P1EのMCBで単相200Vを使用すると?
実は接続し使用しても焼損とかしません。。ただ.....
トリップ素子がない側で0Ω漏電を発生させると回路が切れないので危険!
つまり対地間で短絡が発生してもMCBが切れないので★単相200Vは必ず
2P2EのMCBを使用します★尚、2P2EのMCBを100Vで使用しても構いません。
設備関連のお仕事をされる場合は電気主任でなくてもこの程度の盤配線の
取扱いはNormalレベルのビル管理会社ならしますから覚えておきましょう。


ボイラーや冷凍機の資格はなくても電気工事士の資格はテナントサービスを
提供する上で設備のお仕事ではすぐに必要となる資格です。
(コンセント、タンブラSW交換、配線修理などは時々発生します)
第二種電気工事士程度なら私が勤務する職場でも全員が取得しています。
絶縁抵抗測定では測定器の操作方法だけを教えてもまるで電気の理屈を知
らない人が測定した値は信用に値しません。
私が勤務する現場では電気工事士の資格がない人は絶縁抵抗測定をしては
いけない職場ルールになっています。

テナント室内はテナント所有物なので一切修理対応する必要はない!
正論ではあるけどそういう対応をしてるビル管理会社なんてないでしょう。
そんなビル管理会社ではオーナーは契約を切ります。もちろん機器単体の
故障はテナント所有物なので修理しませんが配線、コンセント、照明SW修理
漏電、短絡事故調査はビル設備員は対応できる様にしておきましょう。
ビル設備員3年もなってできない様では実務力は新入社員と変わりません。
巡回して電気や機械の記録を取るだけ、運転スイッチを操作するだけなら
高校生でも慣れたらできるのです。それに若い子の方が覚えは早いでしょう。
資格だけのそういう先輩はビル管理では意外と多いと思います。

Vベルトが切れた、上司から交換命令を受けてそれが即可能か?テナント
からコンセントに電気が来てないと連絡を受けて即現地対応が可能か?
実務力とはそういう事で理屈(知識)が技能になっていてこそテナントや
職場の仲間の役に立てるのです。入社3年をメドに頑張ってね。
職場で決められたお仕事ができるのはお給料をもらうのだから当たり前です。
貴方しかできない事が職場で増えていくたびに貴方は職場で中心的な
存在となり、同時に人間関係のストレスも大きく減少していくのです。
何年しても働き難さを感じるのはそうなれてないからだと思います。
又、契約社員とかで入社されてる場合そこまでのStageにならないと
上司から人物推薦がないので正社員へには今の時代なれないでしょう。
(一般的に勤務態度、年数、資格、上司の意見が会社の昇進基準)

資格だけをたくさん取得しても現場対応ができない様ではダメですよ。
それでは転職する?今度は新しい環境で相当の期待に答えを出せるのか?
人間関係と同じで自分の残した課題、欠点から結局逃げてるだけなのです。
そういう形で転職してきてすぐまた退職された人を何人か私は見ました。
(今度は期待と欠点の二重の重圧で転職前より苦しい状況になる)
惜しまれる程の人間にならない限り転職はまず成功しないと思います。
又、電験三種があれば就職はできますが未経験では契約社員(見習い)
から
となるのも差別でも何でもありません!とにかくそこからがSTART!
これから目指す方にはそういう本当の厳しさは知っておいてほしいのです。


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