電気主任技術者 抵抗分漏れ電流I0r

あまり見る事がたぶんない、分電盤内にある20AのELB側面を見てください。
一般的に30mA漏電したら切れると思われていますが正確に理解しましょう。
定格不動作電流とはこの場合だと15mAの漏電(I0)までは動作しないのです。
ですが15~30mAの範囲の漏電量(I0)でこのELBは動作します。
(定格感度電流の50~100%動作がELBの一般的な仕様となります)
対地電圧100Vで言えば法定基準限界の0.1MΩの絶縁抵抗値で1mAの漏電
だからその値程度を少し下回った程度ではELBは動作しないのです。
対地電圧100Vで15mA漏電したら約6700Ωだから最低0.01MΩより絶縁対抗
が低下したらELBは動作するという計算になります。
ですからELBがあるから常に絶縁抵抗値が法定基準値以上あるとは言えない
ので★最低年に1回は保安規定に従い絶縁抵抗値測定は必要です★

昨日と2日間で飲食2店と事務系テナントがオープンしたので巡回点検
の途中でその回路に給電する動力と電灯変圧器のI0を確認しました。
テナントが変わると使用機器も違うためI0値が変化しますが前の事務所
で使用していた古い調子の悪い機器をこの現場で使われのも困るので
その辺の確認の意味もあります。
I0値でこれまでの50mA未満に変化がないか確認をします。
(I0で50mA未満ならI0rも50mA未満ですからI0r測定は不要)
そこは屋外にある小型キュービクルで毎月ここも変圧器B種接地の測定
を電気の月例基準に従い行っています。

その中にある1台の動力変圧器500KVAで今回オープンした3店舗はここ
から三相200Vをもらっています。この変圧器で問題発生です。

いつもI0は30mA程度なのに今日は約83mA(83.76)もあるのです。
300mAとかも出てるなら低圧地絡が出てもいますしI0rなんか測定する
より漏電箇所の調査を至急しないといけません。
前のビルから持ってきた機器が原因でテナント営業開始初日に漏電なんて
トラブルを私は何回か経験した事があります。
ただI0で50~100mA程度というのは微妙な値でまずはこの値がすべて
絶縁不良による漏電に関係するの値なのか?電源電圧と同相の漏れ電流
成分I0r(抵抗分漏れ電流)の測定を行います。
私は三和電気計器 リーククランプメーター I0R100を使用しています。
絶縁低下による漏れ電流は電源電圧と同相の漏れ電流成分I0rだけに
あります。
(漏れ電流はI0=I0r+I0c、I0cは交流電源時のみ発生)

三相回路でI0r測定時は接地相以外の2線を電圧クリップする事
単相三線式では真ん中が必ず接地、三相でも下の様にS相接地ならいい
けどR相接地の場合では電圧クリップのとり方が違います。
ビルや工場での高圧⇒低圧用変圧器二次側は通常はデルタと思ってください。
(低圧側の1線接地だから三相ではどの相でも接地施工可能)
三相回路でI0r測定時は検電器で接地相を事前に確認が必要となります。
尚、電圧接続を間違えて表示された値はI0rではなく意味がないです。

単相三線式回路のI0r測定はこうですから間違える事はないでしょう。

尚、CVTケーブルのI0r測定は口径が80mmのリーククランプメーターとRM-1
で私は行います。
RM-1はリーククランプメーターと併用して使用する機器でそれ単体だけでは
I0rの測定はできないので注意されてくださいね。
保安規定や経済産業省通達などでケーブルの漏れ電流を測定する義務は
ありませんが各回路で毎月測定しておくと漏電が発生した場合に停電させ
ないで調査する場合に有効な参考データーとなります。
会社では常に報告義務があり厳しい上司では日常の管理はどうなんだ?
という指摘をされるので貴方が電気主任となったならケーブルの漏れ電流
測定は毎月行うべきです。つまり絶縁管理を毎月行うという意味ですね。

下はNETでも公開されてるRM-1のマニアルからですがリーククランプメーター
とRM-1の組合せでも変圧器B種接地でのI0r測定はできます。
ここでもS相接地だからRとT相から電圧検出をしている、この方式は癖がある
ので購入されたなら説明書をよく読んで事前に練習が必要です。

ただ1個が10万円近くするI0rクランプメーターを買う必要がないのが利点!
ただRM-1本体には高周波除去機能はなくあくまでクランプメーター側でそれ
をカットする必要があるのでホームセンターにある1万円程度のクランプメーター
での組合せではダメです。(ただ負荷電流だけを測定するだけの測定器の事)


ご存知の通り変圧器B種接地では漏れ電流50mAが管理基準値です。
ですが建物の地絡検出方式がI0方式では漏電以外の誤報も忘れた頃に発生
するので現実的な運用として私は200mAで設定しています。
I0r方式で地絡検出ができる現場ならば50mA設定でもいけるでしょうね。
省エネ機器、インバータの導入や各種フィルターの設置などにより電路に多くの
高調波の重畳や静電容量分漏電電流(Ioc)の増加が見られます。
こうした影響を受け、電路の絶縁性能とは関係無くI0が大きくなってしまうため
単なるI0地絡検出方式では誤報という現象が発生するのです。

実はこのキュービクル回路は一度も地絡事故がなく各変圧器I0も安定して
いたのでI0rではここは一度も測定した事がなかったのです。
と言うよりI0r測定のための基準電圧検出が写真の様な箱環境で難しく手前
は6600Vだから危険過ぎで私もそれは行えません。
試験用端子VTTは主変圧器ではなくVTで変性した電圧ですからこれは違う。
(Aの変圧器のI0rを測定するのにBの変圧器から電圧を検出するのと同じ)

表のパネルを通電中に外すのは振動でMCBが落ちたらヤバイしMCBやELB
のトリップボタンに作業中に指が触れて停電させても同じです。
テナント営業中に作業ミスで停電を発生させたら始末書と減俸は確定ですよ。
無理かな?と思ったのですがよく見たらパネル上に空間がありそこに変圧器
二次側回路からの主幹バーが見えるのでここから手を入れて電圧クリップが
できました。他の変圧器も同じ位置から電圧を取ればI0rは測定できます。
ただ変圧器二次側~MCB一次側間で保護回路がないので危険注意は必要!

その金属バーから電圧検出できたのでI0rが測定可能となりました。
結果I0=83mA(83.55)でI0r=33mA(33.31)で問題はなく保安協会の方も
I0rで50mA未満なら問題ありません。と以前言われていました。
ですから★I0が50mAを超えたらI0rでもそうなのかまず確認するべきです★
これがI0r=I0=83.55mAと言うならば面倒でもその系統の絶縁抵抗測定を
すべて実施してみる必要があります。
対地間絶縁抵抗値低下が発生してるとI0rとI0はほぼ同値となるのです。

キュービクルでない通常の電気室の配電盤は真ん中が通路になっていてる
ので容易に電圧クリップができます。(下は単相変圧器のI0r測定)
ただI0rは活線状態での作業を伴うので測定には注意されてください。

私が管理する現場の変圧器はどれもI0で50mA未満だけど昔から1台だけ約
110mAがありますがそれもI0rで測定すると約17mAなので問題はありません
し数年その値は変わりません。
(前任者はとりあえず高いけど変化もせず大丈夫みたいという理由で根拠もなく
放置していました)
実はこのI0rクランプメーターを会社で購入してもらったのもこの変圧器の異常
判定をするためでした。
この変圧器は750KVA三相変圧器で回路数も多いせいもあるけど場合によって
は通常の漏れ電流測定I0とI0rでこれほど差が出るのを初めて知りました。
とにかく測定して確認しない事にはI0値が50mAを超えていても変わらないから
安全というのは言えません。

今回の変圧器の漏れ電流測定は今後I0でなくI0rで測定を行う事となります。
測定すれば対地間静電容量を通じた何かか(I0c)か漏電(I0r)かわかります。
ここの地絡検出はI0方式なのでこの値が200mAの設定を超えたら動作するので
そこまでだと運用上面倒でも原因機器を調査が必要ですがたぶんこのままです。
機器は正常でも特性上出てしまうケースもありその場合はある程度はやもえない
のですが変圧器の漏れ電流が50mAを超えたらそれが漏電による物ではないと
いう事を確認しなさい。
というのが管理指針の意味するところなのです。
これは電気主任が★電気の月例点検で必ず確認しないといけない事項です★
面倒ですがすべての変圧器を毎月I0rで測定すれば万全な管理ですね。

★3/31_14:25に一般電灯3変圧器(500KVA)で低圧地絡警報発生!

すぐに変圧器B種接地で測定をしましたがI0で約4mAといつもと変わらず!
I0で4mAならI0rはそれより少ないのでI0rは0か1mA程度でしょう。
こういう値で負荷側を停電させて絶縁測定をしても異常は発見できないです。
変圧器B種接地でI0が一桁の値の二次側回路では絶縁不良というのはまず
ないです。
(私の経験談で絶対という意味ではなく私の目安という意味)
一瞬設定を超える何かの電流が流れましたがこの変化のみではまず間違いなく
前述した理由で絶縁不良による漏電ではありません。
(この場合は最低リーククランプメーターでの測定が必要です)

経験により見つけた貴方だけの目安というのは大切にしてください。
貴方の責任の元に管理してる現場なら他人に自分の拘りの真偽を問う必要
なんてないです。だって私もそれしかないのですから!
もちろん目安はあくまで目安で絶対じゃない、報告書に私がいつも必ず
"現時点では..."と必ず前置きするのは絶対は原因に到達するまでありえない

漏電というのはご存知と思いますが改めて言うとたとえば三相回路が下の様に
7回路あるとしてすべての配線をクランプで挟むと理論的には0Aですね。
(この程度の回路ですと6mA(0.006A)位のI0は漏電ではない原因で流れる)
次に単線で8A程度流れてる1本だけを含めないで同じ一括測定をするとその
不足分が漏電値としてクランプメーターでは約8Aとして測定されます。
これは故意にそうしたけど正常回路で電気が漏電しても同じ事になります。
電気屋さんが配線をまとめて測定してるのは漏電しているか見てるのです。
ただ負荷や配線の状況では稀に絶縁は正常なのに割りと高めのI0が出て
しまうのが電気(交流回路)の取扱いの難しいところです。


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