電気主任技術者 コードリール出火事故

今日の昼の出来事だけど防災係の人から電話があって〇〇にて電気で火
が出たそうだけどあの件はどうなりましたか?という内容でした。
即現場に行くと男性店員が電源を抜いていましたが焦げ臭い状態で誰が
見ても電線が焦げた状態でした。
アルバイトの人があのコードリールにハロゲンヒーターと何かを接続して
使用していたのですがコードを巻いたまま使用したのです。
(話を拡大したくないから店舗の方は私には連絡してこなかったのです)
コードリールに使用されるVCT(ビニールキャブタイヤケーブル)の限界
温度は60℃です。
製品定格にある5A(500W)とはコードを収納した状態で接続できる負荷
それを超す場合はリールをすべてほどき使用しないといけません。

結果VCTはこんな状態となり溶けて煙と火まで出たそうです。
これが店内で発生するわけですから火事騒ぎとなりパニックとなっても
おかしくありません。
。(全長で4箇所 被覆が溶け中が露出状態)
今回は総計18Aの負荷が巻いた状態のコードリールにかかりこの回路
には4箇所コンセントがありましたがその1ヶ所でしか負荷が接続されてな
く電源の20AのMCBが切れる機会もなかったのです。
負荷がヒーターではなく間欠的に動く事務機器とかならおそらくこの事態
とならなかったかもしれません。
又加熱安全SWを内蔵しないコードリールであった事よりも結果論として
誤った使用法をしたのが今回の原因なのです。(本体に注意説明あり)

では通常のコードを巻いて定格電流FULLで使用したら同じ現象が発生
するのではと思い調べたらある保安協会支部でその事について警鐘を
鳴らしておられました。
やはりコードを巻いた状態で連続して定格電流付近を流すと加熱によ
り出火する可能性があるのです。
ただ機器単体コードでPCの様に1A程度しか電気を消費しない物につい
てはこういう出火は発生しません。
逆に電力消費の多い1000~1500Wの機器は機器単体コードでも長い
からと丸めて使用すべきではないのはわかります。
では900Wならどうなのか?となるので電源コードは長いからと下の様
に丸めて使用しない
とするのが間違いはないです。

ある実験結果によるとコードを巻いた状態で10Aの電流を1時間流すと
表面温度は35℃程度となり15Aの場合は60℃まで上昇するという結果。
コードリールでは上から配線がキツく重なった状態のためその熱が重複
して実際は80℃以上に表面温度は上昇する報告をされていました。
VCTなどビニール被覆の電線の絶縁体の限界温度は60℃ですから当然
溶けて火が出るのは時間の問題です。
特に冬場の電気ヒーターは常時10A以上が流れるので巻いたコードリール
で使用するとこの様な火災事故はどのビルでもありえます。
熱は電流の2乗に比例するので10Aが15Aとなれば熱は1.5倍ではなくて
2.25倍となるのです。(インダクタンスとかは関係ないです)

電気を多く使用する時はコードリールをすべてほどいて使用するのは
知ってはいましたが今回初めて焼けた事故には遭遇しました。
絶縁不良にあっては人災と言える原因が多いのですが今回の火災事故
もある意味同じです。
すべてのテナント、店舗の活動を監視する事はできませんから各火元
責任者の方には近く集まってもらい今回記事にした様な内容を話す様
に技術部長から指示を受けました。
人が手で我慢して触っていれる温度は50℃ですから触れないほど加熱
した電源コードは即使用禁止ですね、とにかくかなりヤバいです。

テナント男性が明日店長に怒られるからコードリールを修理できませんか?
と私に言われるので絶縁を測定したら意外にもプラグとケース間は正常
ですがプラグ間の線間絶縁抵抗値は残念な事に100Vメガで0Ω廃品です。
私は普段線間メガはしませんがここまで酷いとしないわけにはいきません。
最終的にお客様から使えるかどうかの判断をしてほしいと言われたら
こうした測定器の結果を立ち合いの上で示してから納得してもらいます。



線間メガだから正常ならば100Vメガで20MΩ以上あって普通です。
当たり前ですが線間メガは機器すべてをコードリールから外した状態で
測定を行います。

機器で感電したかもしれないという報告を受けたらその機器本体と電源間の
絶縁対抗を測定してあげる事はあります。
3Pプラグでない場合はその機器の塗装がない金属面にメガのアースをかませ
て電源プラグとの間で測定されたらいいです。
正常ならばこうした機器単体の絶縁抵抗値は100Vメガで20MΩはあります。
ただ絶縁不良で0.05MΩとかなる事も稀にありその場合は、使用は止めて購入
したお店で修理する指示をします。

★法的に対地電圧100V回路だから0.1MΩ以上あれば正常というのは感電に
関してての基準であって機器本来の絶縁状態とはほど遠い状態です★
新品の時は絶縁抵抗値が100Vメガで20MΩある物が0.2MΩまで低下している
のに0.1MΩ以上だから正常という判断は私はしません。
そのまま放置してたらすぐに0.1MΩ未満となるのは時間の問題です。

法的に絶縁が0.1MΩ以上あれば正常という事をテナントに強調すると中には
そうならそれまでは修理しないなど危険手間状態で使用する事を逆に許可す
る事となります。
(さっき貴方は大丈夫と言ったじゃない!と反論されます)
正常な機器の絶縁20MΩを測定して見せてその比較として0.1MΩしかないと
いう説明の仕方の方が今後の対応も無難で相手も納得してくださいます。
★基準値はイザで判定の要だけどそれは限界値である点を理解しましょう★
(一般の方はこうした基準値を極端に認識されるので不要に言うべきじゃない)

修理できるできないではなくてテナント私物は原則修理作業をしてはいけません。
機器取説にもサービスマン以外は開放禁止とありその修理が原因で後で発火
事故でも発生したら修理を行った貴方が全責任を負う事となります。
あくまで電気主任業務とはビル共用設備の保守管理をするのがお仕事です。
ただ最初から"関係ありません。何もできません"ではテナント苦情となります
から正常かどうかの判定をして今後の方向性をアドバイスしてあげる程度で
いいと思います。
(電気の専門家として有益な選択肢をあげましょう)
★持論ではなくてあくまで測定器の結果を元にこういう事は判断します★
ですから現場も見ず、測定もせず推測では物事を言ってはいけません。


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