電気主任技術者 特高VCB更新工事

今回VCB更新工事の使用前自主検査では現状写真も添付するため
特高室扉のCaution表示を綺麗に新調しました。

予定では電力停電はせず受電DSのみを開放して行う予定でしたが
作業者の安全を最大限に考えて停電をして工事を行う事にしました。
(主VCBを切り無電流にすれば受電DSは開放できる)

24:00、特高受電VCBと直流電源ユニットの更新工事がSTART
電力会社から送電を停止してもらった場合は需要家受電点DSの一次側
に写真の様な接地棒を使い甲種接地をします。(電力との責任分解点)
電気主任技術者の私が責任を持ってこれの取付を行ってすべての業者
さんの作業が開始されるのです。
特高現場では受電VCB操作、DS開放、接地取付操作は電力会社からの
操作票に従いその時間JUSTに行うルール
になっています。
アクションのたびに直通電話で電力会社より指示を受けて操作、完了の
繰り返しで行います。
甲種接地と乙種接地の意味をNET等で調べてよく勉強されてください。

まずは既存VCB撤去、配線処理にけっこう時間がかかります。
それが終わると工事前に特高室の外に仮置であった22000V用の重そう
なVCBユニットは見事その状態のまま専門の運び屋さんの腕で特高室の
受電DSの真下まで移動されました。
操作用、継電器、中央監視用など制御回路配線接続工事が済むと中央
監視PC操作とのリンクが正常に機能するか動作テストを行います。
既存撤去⇒新品据付⇒制御工事⇒動作試験が工事の前半工程ですね。

このVCBは定格遮断電流が16KA(16000A)だから受電VCB二次側での
短絡電流約5500Aを余裕で遮断できます。
ここで言う定格電流とは連続して通常時に流す事が可能な値でこれら2点
がVCBを選ぶ上で一番の性能条件となります。
各需要家の受電点短絡容量は電力会社が教えてくれますからそれを√3と
受電電圧で割れば短絡電流はわかります。
そんな場合は3サイクルで事故電流を遮断してくれます。

製品単体で正常な動作が確認されたので現場代理人より検査工程開始
の許可を求められ、私が許可を出したので電気事業法施行規則に基づ
いて使用前自主検査をする事になります。
又検査結果終了後1か月以内に使用前安全管理審査を受けます。
工場で製品出荷時に検査してるから据付後に行うこの検査を省略しても
良い事にはなりません。
据付作業時に衝撃を与えてしまい途中破損する事だってありえます。
電気主任が確認して認めたという事実をこの検査では求めています。

使用前自主検査での絶縁測定では"高圧又は特別高圧の機器及び電路
については、1000V絶縁抵抗計を使用して測定する”とあるので特高であ
っても1000Vメガで測定を行います。
絶縁測定が終わったら次は耐圧試験の実施、28750Vを10分印加し試験
を行いましたが漏れ電流は10mA未満で変化なく問題なし!
業者が電圧をかけ私に"結果はいかがでしょうか"と毎回質問されて私が
それに答え異常の有無を私が判断するという検査方法です。
結局、電気主任が結果を判断するという事は電気主任が自らこの検査を
してるのと同じ意味なんです。



耐圧試験は通常こうした新設時の自主検査でしか行う事はないです。
これはストレス試験みたいな物なので老朽機器には通常行いません。
現場の電気主任技術者では話にはよく聞くけど実際に測定現場を見
る機会はこうした更新工事でもないとほとんどないと思います。
私で耐圧試験に立ち会ったのはこれが4回目ですね。

後は接地抵抗、VCBトリップ連動試験、リレー試験、外観設置状況の確認で
これら検査は以下の様に電気主任技術者が総括となり行う様に法で義務
づけられています。

尚、アーステスターとメガは職場にあると思いますが耐圧試験、リレー試験
の測定器は現場(ビル、工場)には100%近くありません。
こういう機器は価格が高く特殊な事情時しか使用しないため買うのは無駄
となるので必要なら業者にしてもらう事になります。
耐圧試験だけで安くて20万円程度で今回の場合は試験費用として40万円
その費用はVCB取替工事の中に最初から含まれています。


★本日の問題点1
リレー試験を行う時にOCRの限時設定が8A⇒5Aに変更されていました。

既存OCR設定は160%なのに試験直前に100%に変更されていたのです。
(100%で5Aだから160%で8AとこのOCRは扱う)
あれ???前は変圧器の定格電流×1.5倍を元に8Aに設定なのになぜ
5A設定に変更したのですか?と強く質問しました。
検査員は上司にそういう指示を受けたと言いましたがそれでは理屈に合
わないし、検査員がその理由がわからないというのです。
(この検査員は作業員レベルでわかってないとすぐに感じました)
変更理由がないと判断し8Aに戻す様に要求しました。
検査員から会社に確認するので待ってください。と試験は中止となり20分
後に再開8Aに戻してもらいました。

★自分が納得できない事は業者でも認めてはいけません★
私が不自然に思うのですからこの結果を見た経済産業省の担当も同じ様
に思い私になぜ変更したのか根拠を質問されてくるはずです。
来年行う1000KVAの変圧器を2500KVAに変更する時ならCT変更でOCR
設定変更は理解できますがVCB変更にOCR設定変更は必要ありません。
すぐ盤受電メーターも確認すると100AレンジのままでCT比率変更は
なくOCRの設定がこの工事で変わるのはどう考えてもおかしいです。
設定変更を無断でした件は後日業者担当に返答してもらう必要があり
ますが、今は残りの試験を早く済ませなくてはなりません。

盤電流計がたとえば500Aならばそこには500/5のCTがきます。
OCRはこのCT二次側電流の倍率に応じて設定するので通過電流が同じ
なら電流計の変更はなく従いCTも変更されないのです。
この設備は受電22000V地点で3台変圧器が定格状態で105Aでそこに
100/5のCTがあるわけでOCR設定を5Aにしたら定格未満で受電トリップ
となるので過負荷保護にならないのです。

100A電流計では少し不足ですからこのタイミングで大きくしたなら
いえそうしたのかと一瞬思い盤電流計を私は確認したのです。
(CTの倍率が上がればCT二次電流は逆に下がり倍率も下がる)

この件は少し問題となると思うので私も検証してみました。
1が今の状態ですが私が知らない昔に当時の会社側の判断で省エネのため
3台を2台に台数だけ変更しているのです。
2台で故障が発生した場合に今の設備の人では緊急対応が難しいのとOCR
設定も3台時のままなので3台運転に戻す提案をして昨年から3台にしました。
机の上の資料だけで判断してるメーカーの担当は今も2台運転と思い5Aに
する指示をしたのかなと想像しました。
(私はいいけど技術部長とかこのままでは業者を怒りそうなので)

余談ですがOCRの瞬時要素は変圧器が負荷の場合は突入電流を考慮して
通過定格電流合計の10倍以上でどこの現場でも設定されてると思います。
上の場合だと5.25×10=52.5Aで50Aか60Aとなります。
ここの現場の場合は電流計に余裕がないから少し高い値になっています。
ただ通常運用では変圧器3台計4000KVAに2500KVAしか負荷がMAXで
乗らないのでこの100Aの電流計でも支障は発生しないのです。

使用前自主検査が電気主任の判断で問題なしとなれば最終作業実施。
業者よりVCBの母線接続の許可を求められたので同意しました。
更にDC電源を必要とする作業はこれで終了したので直流電源装置の
電源関係の工事許可を電池メーカーにこのタイミングで出しました。

★重要なポイントでは業者も無断では作業しません★必ず電気主任に
状況を報告して許可を求めてこられます。
工事当日は発注者であるオーナーの代理として不備な点があえば工事
の修正を要求できる様に作業内容を熟知しておかないといけません。
問われて許可を出すという事は結果に責任を負うという事なのです。

22000V受電する時に念のため検相器を取付していました。
今回は点検ではなく配線工事もしてるので念のためです。
工事業者が見たら気分を悪くするでしょうから工事前にこっそり
取付しておきました。
この場所は据付場所の裏奥で工事中は知らないと気がつかない

GPTのV011~V013のとこで低圧検相が良好なら22000Vでも
問題ないという事です。
三相は二相が逆になるとモーターが反転してしまいます。
モーターは反転可能ですがそれで駆動するポンプは反転不可
なので3Eリレーのない場合は多数壊れてしまうかもしれません!
(相に問題があれば変圧器二次側VCB投入前に気がつきます)
単相三線の中性線の断線と同じで動力回路の相が変わるという
のはしてはいけない電気の取扱い常識なんです。

VCBが収納されてるBOXの前扉を開けるとこうなりますが内部は
VCBとLAだけでとてもシンプルな作りです。
ビルや工場で使用される遮断器のほとんどがVCBで大昔に油が
内部にあるOCBなる遮断器があったそうですね。
築年数が30年以上の現場でないと出会う事はないと思います。


特高VCB取扱いも通常のVCBと同じなのは見ればわかります。
引き出しレバー、手動投入ボタン、状態表示、動作カウンター
ただこのVCBについてる手動投入ボタンを使う事はまずないです。
あるVCBを絶対に投入しない様にしたいならVCBを引き出す必要
がありますが写真の一番下にあるレバーを上げた状態で引けば
レールのロックが外れて引き出せます。
入れる時もレバーを上げた状態でぐっと押し込めば入ります。

前に紹介した高圧VCB操作での写真を参考のため載せます。


VCBを引き出す、入れるとはこの部分の結合を外す・接続する意味です。
ですから★確実に挿入されてないといけません★
ただ充電状態で引き出す場合必ずVCBを切りとし無電流にしてからです。
入状態でVCBが抜けるのかわかりませが、もし引き出してしまえたらDSを
電流が通過状態で抜くのと同じとなり接続部分で大アークが発生しVCBを
焼損させて使用不能となってしまいます。
(VCBとインターロックを組んだDSと混同しないでください)

★本日の問題点2★
実は今回の工事でまったく想定外の故障が急に発見されたのです。
通常は停電すると500KVAの非常用発電機が自動稼動するのです
が受電27が動作しても自働起動しないのです。
エンジン部品故障でエンジン重故障は何回かありましたが最初から
まったく起動すらしない故障は私も初めての体験です。
停電時に自働で運転しないのでは非常用発電機とは言えません。


今日の業者には関係ないので私が一人で調べないといけません。
まず27のターゲットは出てるのか確認しましたが問題なくどうして
これで発電機が自動起動しないのでしょうか?

発電機回路の接続図だけどこの41-42をジャンパーすれば故障箇所
が27側か発電機側かの確定ができるので行いましたがまったく反応なし
です。つまり発電機側の回路がおかしいのです。
発電機を運転せず照明が点灯しないと。仮設照明だけでは暗く作業員が
危ないので手動で起動、52GのVCB手動投入して発電機送電を強制
開始しました。



夜中3時でしたが発電機業者の個人携帯に連絡(事前に何かあれば
夜中でも連絡する許可をもらっています)
相手は"そんな事はないでしょう、27が本当に動作してるのですか"
と予想通りの返答をされたので上の件を説明し27回路は正常で故障
原因は発電機側と伝えました。至急こちらに来てくださる事になりました。
今はこれだけに集中できないのこの件は発電機業者が来てからです。

そうこうしてると直流電源ユニット更新工事が終了しました。
さすがにあのユ○○ですね。段取りはいいし作業も早いです。
最終自社検査をするので私に立会いを希望されましたが報告書には
"電気主任技術者様にて確認"という文字が入りますから前述にあった
本日の問題点1と同じで納得できない点があれば工事完了を認めては
いけません。

立会いというのは業者がするのをただ見てるだけではないのです。
必ず最後に"よろしいでしょうか"と業者が聞いてくるのは彼らにとって
意味があるのです。
後で不具合が発生しても電気主任技術者様も同意したと言われますから
事前に作業内をよく読んで理解しておかないといけません。

1個2Vの蓄電池が直列接続で54個ありこれは電気室の継電器や
VCB電源及び館内非常灯の電源となります。
だから今回の停電作業に合わせて同時に工事を計画したのです。
DC電源が生きないとVCB操作、継電器動作とならず復電操作が
できません。
尚、今回の直流電源ユニットは前の様な針指示メーターはではな
くてデジタル式になっていました。

監視表示の一部を紹介するとこういう感じでNEWな方がいいですね。
メガやI0を測定する場合はデジタルより針式の方が間違いがないけ
どバッテリーの様な電圧がほとんど変動しない物はデジタル式の方が
正確に読めるのです。
このユニットが工事費込みで1000万円はすると言われていました。

結局、発電機が自動起動しない件だけど更に復電でも自動停止しない
のも判明したのです。
いつも点検してくれるNさんでも回路本体は電子回路なのでその部分
となると工場に問合せが必要で、今日どうこうにはなりませんでした。
中の関係する基盤取替が必要と思います。
リレーの代わりに基盤の中の半導体デバイスが同じ動作をしますが
空調機の起動回路にも言えるけど昔のリレー式なら現場で対応できる
可能性あるけどBlackBOXと言われる物はこれがあるから怖いです。

修理完了までは設備の方で停電したら操作する必要が発生しました。
毎月の試運転とは違い発電機を手動起動させたら52GのVCBも手動
投入してもらわないといけません!
半自動モードなら手動起動、VCB自働投入となりますが設備には電気
音痴の方のいるし、もしVCBが自働入りとならないと面倒です。
最初から手動モードでのみ操作するのが確実と判断しました。
VCBのインターロック条件が効いていると"遮断器投入可"は有効に
ならず52GのVCBは手動でも入らないという意味ですがそれは通常
ないです。(もし受電VCBが切れないとそうなる)

ここの系統では受電と中間VCBが27でトリップするのでいかなる場合
でも電力への逆送電はありえません。
逆送電が発生すると外部の事故点に需要家側から電気を配給
する事になるのでいけないのです。

逆送電でこうなるのが怖い、変圧器は二次側から6600Vを受電しても
一次側に22000Vが発生しそれが建物外の事故点に配給されます。

受電VCBが27で切れる様にどこの現場もしてるのはそれが理由。
ただ非常用発電機のない小さな現場では無理に停電時受電トリップ
しなくて良いのはこの外部線路への逆送電が発生しないからです。
そういうとこはわざわざ高価なVCBはなくLBSで受電しています。

工事が複数同時進行してるなら両方の状況を把握しておかないといけ
ないし今回の様な急なトラブルが発生すれば対処も電気主任はしない
といけません。
こういう現場工事では現場代理人と作業の総合司会をするわけです。
現場代理人は施工工事のプロですが既存回路状態まではわからない
わけですからそこで不具合が発生して工事に支障が発生したら電気
主任技術者が適正な処置とアドバイスを実施しないといけません。


★電気主任技術者の工事立会いとはそのために必要なのです★
これから電気主任を目指す方には立会いの本当の意味を知ってほしい
と思い今回この記事を紹介しました。
イザ故障が発生して回路図面がどこにあるか発見してもいきなりでは
まともな判断を正確にするのは難しいので普段から各種図面の研究
を電気主任はしておかないといけません。
私が勉強と言わずあえて研究という言葉を使う意味は事故対処も想定
に入れてるからです。

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