電気主任技術者 方向性地絡継電器DGR(67)

電気室にある各配電盤にはいくつかの種類の保護継電器が取付して
ありますがその中で地絡の故障表示ランプがある盤は少しだけ他と
構成が違うのです。

地絡表示ランプがある盤には方向性地絡継電器DGR(67)がいて
通常は線路電流計測用のCTのみだけど零相電流を検出するため
の零相変流器ZCTというパーツがついています。
簡単にいうと地絡が発生した場合にZCTに発生する電流を零相
電流といい、私のBlog記事で良く目にするあのI0の事です。

漏電調査で私がクランプで挟んでいるのを何回も見たでしょうが
あれと同じ事をZCTもしてI0を検出するのです。
(余談ですがこの透明バリケードを外していいのは私だけです)

ただ方向性と記載がある様に自回路の地絡以外では動作しない様に
零相電圧V0という値も必要なのです。(もらい事故防止)
V0検出に使用されるのがこの盤ではコンデンサ形地絡検出ZPDです。

地絡事故が発生するとZPDに発生する零相電圧VoとZCTで検出された
零相電流Ioの方向は自己回線では事故電流が電源側から負荷側に
向かって流れます。(ZPDとは零相電圧検出装置)
一方、他回線では事故電流が負荷側から電源側に向かって流れます。
この違いを利用して、事故の発生した回線のみを選択しゃ断します。
設定項目としてはIo、Vo、動作時間の3個でVoに対して特定範囲
のIoの時にのみDGRが動作してVCBをトリップさせるのです。



VCBの横に見えてる赤いのが零相電圧V0を検出するためのコンデンサ形
地絡検出装置(ZPD)で初めてこういう配電盤管理する人が一番見つけ難
いパーツかと思います。

ZPD+DGRなる方向性地絡は私が管理する現場では一次変圧器の二次側
つまり6600V回路の各幹線に使用されています。
(青線は発電機回路だけど今の説明には関係なし)
6600V⇒低圧用変圧器の二次側には各B種接地にLGRなる低圧地絡を見
てる物があるけど、DGRは動作するとVCBを強制トリップさせますがLGRは
警報のみです。
(いずれも動作すると白文字が赤フリッカする)
テナントのたった1個の漏電でVCBをトリップなんかさせたら多数のテナント
に影響を与えるからLGRは警報のみなんです。
ただLGRが動作したら私のお仕事でテナントの漏電箇所調査をStart!

上の一部を拡大しましたが67(DGR)の記載が見えますね!
初めてみる方は三角マークのあるのが動力用変圧器で他は単相三線式
LGRが出るのは単相三線式用変圧器が95%で動力回路はほとんどが
専用回路&固定設備なので意外とトラブルはないです。
単相三線式回路はコンセント劣化、接続される機器劣化など劣化に至る
要素が多く3ヶ月に1回平均でどれかの変圧器LGRが発報します。
そのため嫌でも漏電調査のコツは覚えてしまいました。

★初めて電気主任として現場に着任した人の最初の試練はLGR警報★
着任したばかりで回線やテナントの使用状況もわからずしかも間欠的
なら発見が難しいです。職場の人もそうは電気に詳しくないです。
ただ慣れてくるとそういう事が発生するのは特定のテナントばかりです。
67とか高圧の漏電ばかりを語ってきましたが実際対応を求められるのは
低圧側の漏電により発生する低圧地絡
だと思ってください。
テナント内漏電が原因でLGR発報ならELBのないMCB回路不良です。
特に飲食店舗がある場合は100%いずれ遭遇する事になりますから。

通常B種接地で20mA程度が漏電でいきなり300mAとか出てしまいますが
劣化進行中は間欠的もありえ、それを放置し劣化進行で500~1000mA
が出たままになると火災に至る危険性が高くLGR警報の対応は大切です。
こういう類の漏電は年1実施のメガ測定程度では防ぐ事はできません。
(ネズミ線かじり、客のいきなり機器故障、台車で線を踏み破損など)
だからシステムとして低圧LGR警報が各変圧器にあるのです。
高圧側は人や生物が絡まないので67のDGR動作なんてまずないです。
ただだからってDGRとか知らなくてもいいという意味ではありません。

特高側22000V回路では同じVOを検出するために接地用変圧器GPT
なるパーツが使用されています。

ここだけでなく特高機器場所は手前にバリケードがあってこの中に入る鍵
は私と職場係長しか持っていません。
たとえ見学目的でも普通の設備の人は立ち入り禁止にしています。
(一般の方はどこに電気があるなしの電圧マップが頭にないのですから)

この設備のGPTは一次側コイルに22000Vが充電されて開放したデルタ
回路の総和電圧を見る事でV0を検出する事ができるのです。
この値が継電器に入力されI0と所定の条件に至るとVCBを遮断します。
ただ実際は地絡でなくても三相回路の対地静電容量は完全に平衡して
ないために残留電圧がV0として僅か常に発生するそうです。
つまり誤動作しない程度以上にDGRのV0設定が必要となりますがその
残留電圧の2倍以上との事で10Vとかの設定をよく見ます。

GPTの全体回路図、電圧計がありますが初めて見た時13000Vと表示
されていたので22000Vを√3分の1にした値と瞬時に気がつきました。
図面をみたら二次側スター回路の各コイル電圧を測定してるだけで
これは零相電圧V0とは無関係です。(だから√3分の1となる)
(電圧計指示13000Vでも実際にかかってる電圧は110/√3ボルト)

本体の下には配線ターミナルがありこういう接続になっています。
GPTに限らずこういう接続ターミナルの配線構成を理解しておくと
故障調査、不良回路切り離しなどで役に立つ
ので覚えておきます。
簡単な事で言えば上の電圧計が急に指示しなくなったなら配給元の
この端子台で送り電圧の測定をすれば原因はすぐにわかります。
V015かV016のどちらかを抜けば継電器動作のロックができます。

DGRを完全理解するのは難しいと思いますしそこまで勉強しても専門
に点検業務をしてる人でもない限り必要になる事は選任の電気主任
ではそう多くないと思います。
保護継電器などまったくわからないで電気主任をしてる人もいます。
こうした保護継電器が建物を壊すまで結局1回も動作しなかった現場
もあって当たり前だからそれでも電気主任ができてしまうのです。
ただ自分の場合も絶対にそうかの保障はありませんからできる事は
電気主任として普段から研究しておくべきと私は思います。

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