電気主任技術者 あれ何か変?

地絡発生初期行動~現場確定方法は過去説明したので今回は省略。
変圧器地絡時対処方法⇒漏電 休日返上
とにかくこのC8というあるテナントの分電盤に辿りつきました。
2面盤メインにて口径80mmのリーククランプメーター使用、I0測定
をすると380~500mA、100%間違いなく地絡原因はこの盤の漏電!

ここは昼間停電は駄目と店長から注意されたので慎重に操作を
行う必要があるのです。★電源は切れないからメガを使用できません★
引き込み点以外の太いケーブルは80mmのリーククランプメーターを
完全に挟めない状態で地道にまず分電盤1の子MCBのI0を測定しました。
(I0r測定では電圧クリップが別に必要ですから最初はI0で測定する)

すべて1mA未満で問題ないのを確認、数回路でI0で1mAを少し超えた
値があったけどI0rでは0.1~0.3mAなので問題はありません。
そうなると漏電は分電盤2側の回路のどれか?という結論になりますね。
尚、全部で50回路程度ありますがすべてMCBなので漏電では切れない。
切れないから平気でテナントも使用してる状態ですから感電する前に
早急に漏電回路を切り離しをしたいのです。
法的には対地電圧150V以下で屋内の乾燥した売り場だからELB設置義務
はないので設備的問題はありません。

分電盤1上の接続を見ると2回路がここから分岐してると瞬時に思い
その内の単相200V回路は別設置のマグネットに接続。
ちょうどマグネットの2線のとこでI0が計測できるのでここで測定したら
なんと20A(20000mA)も表示されたのです。
これってどういう事?引き込みが500mAのI0なのに計算が合わない
ではないですか?
ただマグネットは220V、30KWと記載あり、あのテナント内に単相200V
でそんな機器はないはずだから最初から電気の流れを再度CHECK.

分電盤1をよく見ると金属バーがノコで切断改造されている改造
に気がついたのです。

それに全体を良く見ると分電盤2の下方向にケーブルが流れいてその
先が分電盤1のENDに接続されています。
盤の中に図面があったけど改造する前の構成図面でこれには何も
書いてありません。

とにかくこの2面の分電盤はこういう結線になっていました。
分電盤1は単相三線式の真ん中Nは素通しだけど電源線のRとT
は一旦外に出しマグネットを経由させて下から給電状態です。
基本的に分電盤内の電気の流れは上から下ですが分電盤1だけは
電源が下から上に来てる状態だったのです。
つまり安易に外、外から接続の2本を単相200Vと思ったのは私の
早とちりですね。

目的として漏電で全回路をトリップさせるためが一番理屈に合うけど
すでに漏電してるのに動作しない、又電力メーター用CTはあるけど
漏電検出用のZCTがないの理由から漏電対策用の改造であるわけ
ないのです。こういう改造は私初めて見ました!
とにかく遠隔操作で分電盤1全体の入切りが可能となっています。

ただマグネットの2線でのI0測定で20A(20000mA)が出た理由
は納得しました。
単相三線式の真ん中Nを含まないでI0を測定したからです。
真ん中を素通しとしてるのは中性線の開放を避けるためでしょう。
ご存じの様にマグネット接点不良で単相三線式回路の真ん中が
切れた事態が発生すると大変な事になります。(中性線欠相)

ZCTはこういう物でCTと違い全線を挿入する事でクランプでI0
を測定するのと同じ理屈で漏電を検出する物です。

このマグネットの負荷側となる分電盤1の各MCBは最初にI0測定で
異常なしだから残る回路は分電盤2回路の各MCBのどれかという
結論になります。(ここでは主幹2というのが分電盤2の事)
同じく分電盤2の各MCBのI0を測定したら1回路で477mAを発見!
ここは大きな店舗で私が店内で営業中に修理作業を行う事はできな
いので店側に電気屋を手配させて夜中に修理させるしかないと判断
しました。



すぐに技術部長に状況写真をLINEで送信して結論を伝えました。
部長が現地に来られて現場を確認されてから店長に説明。
店側が手配した電気業者が今晩閉店後にその回路につながる
コンセント回路を点検修理となったのです。
ただ漏電が判明した以上この回路を生かしたままはできないの
で切りとする事で主幹はI0が500⇒12mAとなりました。
やはり電気って数学と同じで値の収支は最後は一致します。
現場では延長コードで他回路のコンセントから電源を取り応急
対応としました。

漏電原因ですが店長の報告によるとレジの下にある配線が破損
していたそうです。

店長はネズミでは?と言われていましたが破損写真を見た感じでは
台車で線を踏んだり液体をコンセントにこぼしたり荒い店員もいます
からたぶん今回は人的な原因だと思います。
ネズミがかじった線は線を噛み切るより被覆のめくれが点在する様な
破損跡なのですぐにわかります。
でもそんな意見は言わず"お疲れ様でした"と笑顔で応対しました。

人のせいだと言うのは後でもめ事になりますから余計は言いません!
店長も上司に報告せねばいけませんから店長の都合の良い報告
を素直に受けてあげるのも大人の配慮です。
そうする事で今後何があっても相手は私の申し出に協力してくださる
わけで遺恨を残す対応、発言をすると自分が損です。

テナント室内は相手財産ですから原則私が現場修理までする
義務はありません。
ですが電源が止まる事で極めて深刻な影響がすぐに発生する
場合は大至急対応をしてあげないといけないのでそれはあく
まで原則で絶対ではないのです。
(飲食店なら私がその不良回路をMCBから外して新規にVAで仮設
配線をする場合もあります)
ただ漏電や短絡が発生した場合は電気主任技術者として回路
の確定と安全な状態までにするのは最低義務です。


私の経験ではI0が500mAを超えると数日で700、800mAと上昇して
いくので発見時に500mAもあれば当日に故障箇所を見つけてその
回路を切るべきです。
後値は200~300mAでも妙にUPDOWNしてる時もたいてい末端で
不良回路があります。正常ならI0はほとんど変化をしません。
★漏電発生~終焉のシナリオはこうです★
IOが200~300mA時々発生⇒その間隔が短くなる⇒500mA程度の
I0が出たままで下がらない⇒700~800mA⇒1000mAOVER⇒ヤバイ
漏電はネズミ線かじり、接続される客先機器の急な故障など通常の
点検をしていても防げない性質の物であり漏電はいつ発生しても
不思議ではない事故と言えます。


★過電流については記憶にないほど私が担当する現場ではないです★
テナントのコンセント回路において電気の使い過ぎ(20A超過)があり
トリップして電話が時々かかってくる程度です。
とは言え電気主任たる者は必ず再投入する場合100Vメガを行い異常
がないか確認してから再投入は行ってくださいね。

一般の人みたいに何も考えずブレーカーをとりあえず入れるはダメ!
"原因又は安全確認がない電源の投入はしない"は基本中の基本です。
その後でクランプで負荷電流を計測して15~20Aもあれば回路増設を
テナントに提案すべきです。


ビル側には防災管理者がいて私とは別にこうしたコンセントの状況
主にトラッキングの有無やたこ足配線も点検してくださっています。
私が勤務するビルでは電気担当は防災担当者と連携してテナント内
の電気安全を監視しています。
もちろんテナント分電盤内の主幹で毎月I0測定をするのもそのため。
見た目だけではわからない変化兆候もありますから!
年1の絶縁測定だけでは電気安全を保つのは現実無理だと思います。

短絡という現象はビルのテナント用途ではまず発生しません。
稀に年に1~2回あるのは機器本体不良でこの場合はこちらで対処
できる事ではなく購入メーカーに相談して頂く事になります。
後ビル側の設備でありえるのは動力回路マグネット不良により単相
状態発生などですが適切な管理をされてるならまず発生しません。
結論的には★ビルで電気主任をする場合で遭遇するトラブルの多く
は私が何度も述べてる漏電に関する故障、事故なのです★

故障は経年劣化、事故は管理不足、使用者の操作ミス、生物被害
で発生すると私は自らの経験で悟りました。

尚、私の提案でオーナー書面で各テナントに使用機器が15年より
古くなったら更新を勧める書面を毎年配布しています。
老朽機器本体の短絡、漏電を防ぐ唯一の手段は取替しかないです。
又技術部長の考えで予算的にそれが困難な小店舗にあっては入居時
の預かり金にて取替をビル側が手配する制度を今年から導入して割と
利用されるテナントが増えたと思います。
古くても取替となると売上が悪いテナントでは本部の予算許可が下りない
のが機器更新のネックになっていたのでこの制度はテナントに好評です。

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