2016年1月8日金曜日

電気主任技術者 ビル暖房運転

私が勤務するビルには電気で稼働するエアコン、ガスで可動する
GHPエアコン、そして館内の冷暖房の主たる冷温水発生機が
4台あります。

冷温水発生機は冷水と温水の両方を作りだせる機械でこれ1台で
冷凍機とボイラーが不要となります。
能力の大きさがわかり易い様に冷凍トンで記載してますが暖房能力
を示すのは本来Kcal/hなのでそれは前置きします。

この時期では中心設備となる暖房設備の運用について記事にしました。
熱源設備はビルでも工場でもあるため電気主任は誰より完璧に
システムを理解しておかないといけません。
今の時期は冷房時能力500冷凍トンのNO1冷温水発生機1台のみ
冬は吸収液を過熱させてそれを熱交換機で水を温水にする
事で空調器の暖房運転をしています。
夏は機械が発生する水の温度は8℃~10℃だけど冬は55℃程度
になっています。

NO4冷温水発生機はコージェネの廃熱を利用する仕組みもあり
ますが事情で最近は使用しません。
又これだけの暖房能力なら本来1台で1級ボイラー技士の資格が
必要になりますが水を直接加熱してないのでこの機械の運転
には資格は必要ないとは聞いています。
夏も違う理由で冷房能力が500冷凍トンあっても資格はいらない
この機械のあるビル、工場ではボイラー技士や冷凍機の資格
は必要ありません。

2個の機械を1個にでき資格者不要、高圧モーター不要で契約電力
も下げられるなど付加価値が高いと思います。

CHP5-1~CHP5-3は館内の空調機やFCUに温水を送水する二次
ポンプで圧力が2.8Kg/㎠となる様に台数制御とバイパス
制御を自動で
行っています。
この圧力が設定圧力にある事が一番大切です。
現地の盤にいくと各コントローラーが並んでいてそれぞれに意味
があり現場の設備管理する者は勉強して各意味を理解して
おかないといけません。
この中でも大切なのは右のコントローラーの現在値が設定
の前後にあるかという事です。

左が1台のみが可変速インバーターポンプでこの3台のポンプを
設定と現在値のずれ(偏差)に応じて台数制御をします。
なぜ1台が可変則かは空調機冷温水バルブ開度変化による
圧力変動に対応するためでバイパス弁方式の場合もあります。
巡回時は各ポンプ圧力やグランドからの漏れ程度、グランド部分
の過熱を確認します。(メカニカルシールのポンプなら必要なし)
圧力や電流を記録する場合に0という表示の場合システム
稼動状態でなら0でいいけど、停止してるならーと横線で書きます。
停止して0か稼動状態で0なのか...使い分けます。

低負荷で1台運転でも圧力を保てない場合はバイパスバルブが
一番下にありこれで圧力をエスケープさせます。
こういう2台運転ではバイパスバルブは全閉でないといけません。

巡回時に目視で開度確認は必ずする様にはなっています。
これは全閉状態ですね。

ヘッダーの圧力をPEWで検出しPICで圧力制御します。
Pは圧力、Iは指示、Cは制御という意味です。
PICの出力をレシオバイパス設定(R/B)で分割させて
各ポンプ制御とバイパス制御をしています。
TEWは温度検出でこれは監視室のPCに値を送っています。
こういう勉強は必ず現地で物とリンクさせながらで机の上で勉強
しただけではイザで使い物になりません。

これは上のPICメインコトローラーでここでも現在値が確認でき
2.8Kg/㎠なので良好です。

電気主任技術者になった方はこういう図面で勉強して機械
の動作を研究しておかないといけません。
シーケンスがわからない方の参考までに私の過去記事です。
⇒シーケンス回路説明

これがNO1冷温水発生機ですが本体はケース内にあるため
全体姿は外からでは見る事はできません。

これが内部の燃焼装置とそれの機械制御盤です。
H-HP00とは暖房運転(H)、高燃焼状態(H)、一次ポンプ運転中(P)
という意味でこの表示状態ならシステムは正常と言えます。
故障が発生すると変わりにエラーコードが表示されるのでそれを
見て次のアクションを決定します。

空調機には全熱交換機(AEX)というのが付属しています。
冷房の場合で説明すると排気(EA)の温度が25℃とすれば外気
(OA)33℃より冷たいためそのまま捨てるよりそれでOAを冷却
すれば33℃の外気が30℃には下げれます。
たった3℃と言っても通過空気量は相当なので熱源設備にとって
負担が減り省エネができるのです。
暖房ならEAでOAを過熱して省エネ効果を実現します。

これはFCU(ファンコイルユニット)といい冷温水発生機からの
冷温水を入れて冷暖房をするシステムで店舗や事務所では
FUCと電気のエアコンの併用で冷暖房をしています。
エアコンはテナントが自分のお金で設置した物で運転すると
自分達が払う電気代がかかるため皆さん極力FCUを使っています。
夏は結露水を受けるドレンが詰まり天井から水漏れを全体の5%
がするので私としては廃止してほしいです。
冬は結露が出ないのでほとんどトラブルはありませんけどね。

図面でわかる様に1個のコントロラーで複数台のFCUを制御
しています。
たとえばAというFCUが動かないとテナントから連絡があり業者
を呼ぶならその前に端子台のとこで電圧がきてるか確認します。
電圧が来てないのにFCUの業者を呼んでは恥をかきますから
電気担当がいる以上は最低限何がどうなってるかは調査して
的確な業者を呼ぶ様にしてください。
機械本体の修理は私もしませんがコントローラー交換や配線
の断線程度ならできます。
だから電気屋には図面というのは何より大切なんです。

これはGHPの室外機で電気のエアコン室外機のモーター部分
をガスエンジンで動かす仕組みの物で飲食店舗では調理で
ガスを使うのでそういう店舗がよく導入しています。
これはビル側が管理費をもらい契約していて、最初は何かあれば
業者に依頼していた様ですがエンジンオイル、ベルト交換、冷却水
プラグ交換、つまり車好きなら自分でするメンテくらいは設備なら
できるだろうという話になり私が来た時はそこまでは設備でして
駄目なら業者連絡されていました。
もしろん私も一人でそれらの作業はできます。

やはり電気のエアコンが一番管理は楽です。
エラーコードを業者に連絡するだけというよりそれ以上は触れない
し触れても修理部品がありませんから

話は冷温水発生機に戻りますが
そこで作られた55℃の温水は各空調機に送水されます。
上が空調機入側の水の温度で下が出側の水の同じ値。
熱交換するから55℃の水が28℃に下がるのです。
新築に近いビルの設備機器圧力計はMpa(メガパスカル)
でしょうが一般的にKg/㎠単位とMpaが混在しています。
やはり私も物事を考える時はKg/㎠単位がいいです。
Mpa単位を10倍値で読んだらKg/㎠単位と思ってください。
(厳密には微量異なるけど現場での実用上問題ない)
機械の記録を取る時にCHECKシートはすべてMpaだけど
現場はKg/㎠の圧力計がある場合など迷わない様に!

メインコトローラー2.8Kg/㎠制御なのになぜここでは0.6Mpa
つまり6Kg/㎠あるのでしょうか?
こういう疑問を持つのが設備理解の一歩考えてみてください。
後余談だけど★ビル現場に就職する場合は夏より冬★
夏は冬より倍以上にいろんなトラブルが多く、冬は寒いけどゆっくり
物事を学べ気持ちが少しは楽だと思うよ。
トラブルが続いてると先輩もなかなか教えてる暇もなくお互い
気持の余裕がないと人間関係も円滑にいけませんから!

これはある階の空調機の温度コントローラーです。
上段右ので操作してみましょう。
設定が18℃で現在値が18.1℃なので操作出力は出てない。
どうして冬なのに設定18℃かはホールで暑くなるから暖房した
くないためで一旦上げると冷やす物がないのでこうします。

コントローラーからのOPEN信号で開く電動弁開度は上の理由
から全閉となっています。

現在温度18℃で設定を18.7℃に変更すると0.7℃温度を上げない
といけないため操作出力が20%出て電動弁が適当な開度開きます。
操作出力がすでに100%ならば設定を更に上げても意味は
ありません。
(緑のゲージ表示がFULL点灯の状態)
夏は冬と温度に対するバルブの動きが逆になるけどそれを夏冬切替
といいますが監視室PCで遠隔操作で行います。
設定温度の変更が監視室PCからできないのが不便とは言える
けどそれは今更で、とにかく設定変更はこの現場は現地です。

部屋温度が22℃で設定が25℃ならばその差3℃に応じた操作
出力が出ます。
もしそれでも温度が上昇しないで21℃に低下したら差が4℃となる
ので自動的に操作出力は上がるのです。
つまり設定温度というのは一度希望温度にすれば原則後から
変更する必要はありません。
自動制御が自動的に操作出力を上げて温水バルブの開度
を上げてくれます、だから自動制御なんです。

意外とそれを理解してなく設定を頻繁にいじりたがる人が一人
は職場にいますが先輩ですからあえて私は何も言いません。
口はなんとかという戒めもありますから職場で私は自分の知識
を人に自慢げに話す人間ではありません。


比例動作(P)とは
前述した設定と現在値の差により操作出力が増える制御
つまりy=kxの関係です、xが入力、yが出力
設定25℃で比例帯が2℃という意味はバルブが24℃~26℃
の範囲で全開~全閉するという意味(暖房時)
これを狭くするとバルブの動きは早くなるけど開閉が頻繁となり
故障率が高くなります。
電気主任はせめて比例帯の意味程度は理解しておきましょう。
この言葉はいろんな現場制御で今も出てくる言葉です。

下の2個は積分と微分だからどちらも時間が関係しますが
これを触る事はまずないですからとりあえずこの程度概略を
理解しておけばいいと思います。
積分動作(I)とは
設定と現在値のズレのある時間に応じて操作出力が増える制御
微分動作(D)とは
設定と現在値のズレの変化速度に応じて操作出力が増える制御
IとD動作をあまり強くすると安定性が悪くなるし部屋の温度は
それほど急変化する性質はないのでいじる必要はまずないです。
通常は設定温度のみしか操作しません。

上手な熱源運転というのは熱源能力=要求負荷の状態で
熱源の能力が強過ぎると冷温水発生機がON-OFF状態となります。
なるべく機械を途中で停止させないのが一番効率的ですが
それには冷温水発生機の設定温度を極端にしない事が大切です。
後はその熱源を起動させるタイミングですね。
夏場省エネと我慢して33℃になってエアコンを入れるとその時が
一番電気を消費します。
27℃の室温にしたいなら26℃か27℃で運転開始すべきで
設定と現在温度の差が大きくならないタイミングで運転します。
冷温水発生機では電気ではなくガスを消費しますが考え方は
同じと思ってください。

夏場に部屋を快適温度にするのに逆に熱源の設定を少し上げた
方がいい場合がありますがそれを理解できるなら上級の運転員
と言えます。なぜなのか皆さんも考えてみてください。
熱源の冷水設定が7℃を9℃にした方が夏場部屋の温度が快適
になるという意味でそれってありえないと思われるかもしれません。
これは設備の方でも気がついてない方が多いと思います。
冷温水発生機がON-OFF状態となった場合で水の温度がどう変化
するのか?それがヒントです。(熱源の能力不足の場合は除く)