2015年12月19日土曜日

電気主任技術者 変圧器絶縁耐力試験完了

長期休止中のN03変圧器の絶縁耐力試験を12/19の00:00より
開始しました。

ただ新設時以外でこの試験を行うのは絶縁破壊の可能性があるので
業者側から提案されたわけではありません。
12年も休止し1回も電気を通してない特高機器だから安全性を知る
には試験による結果しかないと私が判断して業者に依頼しました。
又この試験の結果が悪い場合は新規に変圧器を購入する事を
オーナーと意思統一した上で実施しました。
取替の場合、見積もりで工事費込みで3500万円もするからできれば
成功するのを祈っていたのは言うまでもありません。

私が勤務する会社は特高室の出入りはカード式で関係者以外禁止。
ここだけは見せれないため大きさもこんな感じの例で紹介します。
22000V変圧器は高さが2mくらいで1000~2000KVA程度までは
共通の箱(BODY)を利用して製作されてる様に思います。
まず一次、二次開閉器はすべて切りStandaloneにした状態で
AC28750Vを印加して絶縁耐力試験を行いました。
契約電力が2000KWを超えると22000V受電になるから一旦
これで6600Vにして高圧用変圧器に給電する電気機器です。
受電(22000V)⇒一次変電室(22000V⇒6600V)⇒二次変電室
(6600V⇒低圧)が建物内の電気の流れです。
変圧器は車と同じでOIL管理と過負荷にしないが管理のコツです。

まずこれが絶縁耐力試験SETで22000V変圧器に28750Vを印可。
試験用変圧器に加える一次電圧を調整しながら最終的にその
電圧まで上昇させ、電圧印加中は安全ロープをして操作員以外
は充電部より退避します。
この作業は専門の測定業者がするので電気主任は計測時に
後で一緒に見て読値に間違いないか確認する程度でいいです。


試験結果は良好でまったく問題なしでした。
大丈夫とは思っていたけど投入判断をする以上は確実な根拠
がなければいけません。100や200Vではないのですから!
業者にしても試験をしない上での意見は推測にしか過ぎない。

売電に接続するに前に過電流(OCR)でNO3変圧器の
VCBがトリップするかのCHECKもしました。

ただこれだけのためにその専門の業者まで呼ぶのは高い
経費を請求されるため私が行いました。
OCR(51)の接点は図面からわかるためこれを短絡させると
赤信号がVCBの切り入力5番にかかるのでトリップします。
その5番の上にVCBを手動切りをするSWがあるけどそれ
からこの5番がVCBの切り入力とわかります。
もし事故が発生した場合にNO3変圧器のVCBが切れないで
受電VCBが切れたら全停電となります。
(その事態になり何も確認してないでは私の責任になる)

今日来てる測定業者は測定だけできてるのでこういう事を
お願いしても絶対しないし、する義務はありません。
電気主任が未熟なほど何をするのでもたくさん業者を呼ぶ
事になり費用がかさみますが前任の電気主任より自分の質
を落とすのだけは避けて普段から現場設備を研究しておく!

と言うかオーナーは前任者ができてた事は貴方もできると
思ってるので余計な経費がかかると怒られるかも?

こういう2端子間をジャンパーさせる場合こういうスナップSWを
使い、配線はこういう盤で使用されてる物で配線の先の両端
にはクリップをつけてしてる業者を見た事があります。
ヒューズをつけたら完璧だと思うけどここまで用意されるなら満点!
電子工作のお店に行けば何でもあります。

★それでは売電の線路に接続を行います。
現場の高圧機器操作や盤VCB入切操作は私のお仕事です。
DS1の断路器投入⇒VCB1のVCBを投入する事により一次側に
22000Vが印加されますが無負荷状態のまま10分放置して
二次電圧や変圧器の異音などを確認します。問題なし!
これを試充電試験と言います。
操作のたび声を出し、指さし確認をするのは基本中の基本
次にDS2の断路器投入⇒VCB2のVCBを投入して今度は負荷を
かけました。(運転可能な空調機を稼動させた)
ただ夜中の2時でビル機能が稼動してないため負荷はわずか!

現場でこうした受電稼動を見た事がない方に参考までに
受電力率が100%に近いなら変圧器3台電流値総計=受電電流になる。
受電22000Vだから1Aで約38KVA相当(1.73×22×1)
電流はNO1とNO2は同値でNO3とは5:3程度の比率になるのですね
実際どうかは?は何でも実際にしてみるしかありません。
正式運用後はPC上でNO3電流値がNO1電流値の3/5倍を大きく
超えたら警報を出す設定にしたら面白いかなと思っています。
(警報設定はPC上で自由にできますから)

後は昼間に全体負荷を2000KW程度かけて温度上昇の具合を
確認しますが今夜は無理なので3台運転が安全にできる事を
確認しただけで02:30には終了しました。
とりあえず技術部長からすべて入れる前の状態にする様指示
があったので先ほどとは逆の手順で回路をOFFしました。
予定では12/22のAM8:30~16:00まで3台運転をする事に
決まりましたがその時はもう業者はいないので私一人で操作
します。(安全を確認できたので業者は不要)
今夜の絶縁耐力試験+試充電試験+運転立会、実質23時から
翌日02:30までの作業で約50万円だそうです。

ビル事業部の方が二人見学に来られていましたが3台運転
する場合のメリットとデメリットを質問されたので
もし1500KVA+1500KVAの2台運転時に夏場2500KW負荷
がある時に1台が故障トリップしたら1500KVAに2500KVA
がかかり超過負荷で危険、即時対応が必要です。
もしその時に今した操作をできる者がいない場合です。
3台ならば1台がトリップしても運転継続ができます。
(自動で切り替わる物ならともかくそうでない場合は電気主任
がいない時でも誰か安心して任せられる者が現場にいるのか?
まして電気工事士すらない電気の素人さんに受変電設備の
操作は設備の仲間でも絶対にさせてはいけません。
私の勤務する会社では5年前からそういう体制を取っています。)

元々NO3変圧器を12年も途中で遊ばせていたのはコスト削減
省エネを当時の社長が推進していたのが理由で今の社長
は私と考えが似ていると思う。
結局はその時のオーナーの考え方しだいでしょうね。
電気主任技術者の意見尊重の原則はあるけど保安規定で定めた
保安統括管理者(社長又は役職者)の考えが最終決定事項です。
電気主任技術者とはその人を補佐していくのが立場です。