2015年11月2日月曜日

電気主任技術者 仕事:スターデルタ起動モーター故障対応

絶縁管理とモーター関係の故障対応は電気主任技術者として一番
有りえるトラブル
で特にスターデルタ起動方式はどんな工場、ビル
でもあるのでこれから電気主任を目指す方は絶対に習得して
おかないといけません。

これは私が管理するビルに入居してる飲食店舗の排気ファンで
最近逝ったの!自主管理され厨房のお兄さんがベルト交換をしたり
グリースも入れておられ一般の方にしては管理は良い方です。
ただカバーを常時こんな感じで外したままにしてるのは危険ですよ。
(店舗財産は店側がするかお金を出して誰かにしてもらうか?)

そうなるとモーターの絶縁測定をすると電気屋さんにとっては
悪夢のこんな状態となります。0Ωですね

もう取替しか解決策はありませんがこれがモーターの臨終です。
こうなってから相談されても私も何もできません。
運転時間も長く経年劣化の寿命でしょうが本当はモーター温度や
騒音などで事前に兆候が出てたはず、原因は正確にはわかりません。
排気ファンが停止するとガスが使えない様になってるので2日店舗は
営業を停止され売上被害も相当だったみたいです。
この件でモーター交換と今後の保守管理のお仕事の依頼を受けました。

一般仕様のモーターでは表面温度が85℃を超えたら要注意で
95℃まで行けば取替を検討
する必要があると思います。
内部の絶縁階級がE種で120℃限界で業者によると表面で20℃程度
下がるため100℃が限界温度と判断します。
(通常の表面温度は屋外で30~40℃、屋内で40~60℃程度)
人が素手で触れていられる間なら50℃以下なのでいくら熱くても
全然平気ですがそうでないなら放射温度計での管理が必要です。
職場のは大きく携行するには不向きなので私は楽天で3000円
で買ったミニ放射温度計をいつも持っています。
電気設備巡回では触れない部分の温度CHECKも時々必要!

ここまでは稀であってもモーター故障で運転できない場合は動力
のため営業、生産活動が停止するため迅速な対応が必要です。
まずは回路図で電圧、電流の特性を学習しましょう
スター回路で電源電圧をルート3分の1にして起動させて10秒
程度したらデルタ回路に変更して今度は電源電圧で起動させる!
電圧をルート3分の1にするとトルクは1/3となり電流も1/3
になる
ので起動電流を制限するのがスターデルタ起動方式。

だけど実際に現場に着任して"電気主任さん機械が動きません"
と言われて下の様な実際の配線を見た時にさっとわかりますか?
これを見てピンとこなくては故障時対応はまったくできません!
(私が管理する現場にある物で説明しています)
図面を見ながら実物の状態を目で追っていきましょう。
これで理解できてこそ使える技術と言えると思います。

故障が発生してすべて業者に修理してもらう様な現場は稀です。
彼らに依頼すると高額な費用が発生するわけでオーナーとして
は少しでも現場の電気主任が処理できれば助かります。
故障したら連絡するだけなら貴方でなくてもいいわけです。
最低限言えるのは前任の電気主任が修理できていた事は貴方も
できないとそういう愚痴を言われる可能性があります。
電気の管理の質が低下しては貴方を雇用した意味がないでしょう?
できれば修理をある程度できてこそ電気主任技術者の存在価値
を職場の皆さんは認めてくださいます。

NETとかの説明ではスターとデルタ回路動作を重複して説明
してあり初心者の方には理解し難いので私なりに解説を
してみました。
スター回路のみで回路を実線で書いたのがこれです。
デルタマグネットは切れているため考えません!
モーターコイル電圧Vが電源電圧Eのルート3分の1になるのは
わかると思います。
目で配線のつながりを追って上の写真と必ずリンクさせながら
確実に納得しましょう。

絶縁測定は主マグネット二次側かデルタマグネットの一次側で
行うのは自然とわかると思います。
まさかMCBの二次側でされていませんよね?それでは
MCBと主マグネット一次側の配線間をしてるだけでモーターの
絶縁測定をされていません。(意外にそんな現場あるみたい)

次にデルタ回路のみで回路を実線で書いたのがこれです。
スターマグネットは切れているため考えません!
たぶんデルタ回路の実際の接続がわからない方が多いと思います。
モーターコイル電圧Vは電源電圧Eと等しくなりますがコイル電流I2
は電源電流I1のルート3分の1になります。
これも上の写真とリンクさせながら確実に納得してください。

上で配線の状態が理解できたばらば制御その物を勉強します。
起動押しボタンを押してからの信号の流れを記述していき回路
動作を研究します。
私の現場ではこの回路部分が電子回路化していて単体でこれらタイマー
やリレーは存在していませんが現場の回路は設計者により微妙に異なる
ので自分が着任した現場の場合を研究しましょう。
ただスターデルタ起動方式の基本としてこの回路動作を追えないと
故障した場合ではまったく手が出せません。
ただこれに近い状態のパーツにより構成されたシーケンス回路を
現場に着任したら扱う事になる方がかなりだと思います。


スターマグネットとデルタマグネットは互いのb接点を相手の起動回路
に入れる事で同時には投入されません。(ピンク部分)
赤字が前半のスター回路の動きでタイマー時間T経過後が黒字デルタ回路
投入の動きとなります。
このシーケンスではデルタ回路が先にONする事でメインマグネットが後から
ONされて通常運転となります。
何か回路故障が発生したら★動きをこういう感じで順番に書いて考える★
のが故障特定のための最短距離なんです。

まったく最初から起動しない場合はTHRが動作してないか?してればメガ測定
で絶縁確認をして異常なければリセットで正常復帰するはず。
THRでなければOFFボタンをジャンパーしてONボタンを押す⇒タイマーRT接点を
ジャンパーしてONボタンを押す...これのどれかでまず起動するはずです。
(ジャンパーとは線で2端子間を短絡させる事)
ON/OFFボタンは押した一瞬しか動作させないし、メインマグネットのコイル断線
も稀なのでタイマーRTの故障が一番可能性が高いでしょう!
タイマーRT接点をジャンパーしてONボタンを押すで起動したら確定です。
ただ上操作ではメインマグネットがONのままとなりスター回路が切れないため
デルタ回路にはなりませんがこれは故障ではありません。

右の時計みたいなのがそれで秒タイマーです。
交換はマグネットの様に配線の外しは不要のプラグインです。
ただ在庫として買ってないとYamada電機などには売ってないので
電材屋で事前にオーナーに説明して買ってもらう必要はあります。
自分の仕事を円滑に進めるには普段の準備も必要です。

スターデルタ起動方式で多いトラブルは上で説明した切替タイマー
以外でマグネットやリレーなどの接点不良により故障になります。
実際されてみるとわかりますが電気工事士の実技試験に合格できる
つまり誰でも練習すれば相応に交換ができるのです。

1.この状態で全体をスケッチする
2.外す配線に番号を自分で決めて配線に貼る
3.スケッチした線にも同じ番号を記載する。
4.交換する
5.3のスケッチを見ながら配線をする。
シーケンスを見れば線番がありますが稀にしかしない作業では
配線の位置をわかる様にしておく事で間違いは防げます。

簡単に言えば以上の方法で日常大工の腕前で交換はできます。
とにかく現場の電気主任技術者になりそういう交換が必要に
なったらご自身で上司に進言して取替に挑戦されてください。
しない事にはいつまでたっても連絡係しかできません。

テク的な事で言えば交換するにも物がないと作業はできません。
とりあえずの応急処置としてマグネットのコンタクターを抜いて
磨く事で運転再開できる事も多いのです。
10年以上経過してる物は後でマグネット交換された方がいいとは
思います。

長年の使用で接点表面がこういう状態になります。
ただこの機械は365日使用ではないため劣化進行は軽い

紙やすりなどでこすればキレイになります。
この程度ならば磨けばこの接点に関してはいけると思う。



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