2015年10月3日土曜日

電気主任技術者 仕事:熱源設備運用

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前記事で冷温水発生機の原理や付属機器の説明はしたので
今回は全体システムをレクチャーしますね。
まず朝に今日の運転担当者がRB-1の500冷凍トンの冷温水
発生機を中央監視のPCから起動させます。
するとRB-1の表示が赤となり冷水一次ポンプと冷却水ポンプ
も同様の表示になります。(赤は運転状態を意味)
この2台と冷却塔ファンの自動起動指令は冷温水発生機から
出る
ので中央監視PCからは制御できません。

ただこれだけでは館内に冷水が行かないので冷水二次ポンプを
同じくPCから起動させます。
これは3台ありますがCHP-5-1だけが可変速つまりインバーター
になっていてこの意味は空調機のバルブ変化による圧力変動
に確実に対応するためです。
基本は定速ポンプ2台のどれか1台と併用使用で運転します。
後で負荷増となれば二次ポンプ3台運転になります。

冷温水発生機からの冷水はこういう感じで各空調機に送水されます。
ただ各空調はすべて負荷も能力も違うので冷水の要求量は互い
に異なるので圧力変動というのが発生します。

(空調機は自身にある冷水バルブを開閉させて冷水の取入量を
制御しています。)
そのため冷水本管の圧力をPIC(圧力指示コントロール)で圧力値
を検出してPICで設定された圧力に本管がなる様に圧力調整弁を
開閉させて制御する必要があるのです。
もしバイパス制御がないとすべての空調機の冷水バルブが全閉する
と圧力が上昇し古い配管ではピンホールができて漏水するかも?

今この空調機全体はどういう負荷状態にあるのか?
冷温水発生機の冷却水出口温度で負荷状態を判断もできますが
より確実に見るならば上でいう冷水入温度T1と戻り温度T2の差です。
T1=10.1℃でT2=10.3℃という感じで差がないという事は空調機
が冷水を要求してないため空調機内の冷水バルブがほぼ全閉
して圧力調整弁にほとんどの冷水は流れてる状況です。
空調機が冷水を冷房するため要求するとT1=10.8℃、T2=15℃
とかいう感じで熱交換により冷水のレターン温度は上昇します。

冷房運転開始して最初はT1とT2の温度差がありますが館内
が冷えてくるとこの差がだんだん少なくなってきます。
この差を見てれば館内の冷房状況もほぼ把握できます。
もしいつまでも差が小さくならない場合は冷凍機の追加運転が
必要になります。
これは★セントラル方式の空調設備を扱う操作員の基本動作です★
こういう事って現場の口伝えしかなく、なぜか書物ではありません。

現在契約電力を2700KWで抑える事ができてるのは熱源が
冷温水発生機だからでこれがターボ冷凍機で同じ事を
行えば高圧モーターの運転が必要になるので契約電力は
3000KWを超えてしまいます。

下のバイパズバルブの説明は前記事にあります。
各機械の負荷状態はたとえばRB-1ならそこから出てる冷却水
の出口温度でわかります。
ここが37℃になったらFULLですからそうなる少し
手前で追加運転をしないと冷温水発生機の冷水出口
温度がすぐに15℃となり利用者から暑いと苦情が出ます。
一応は37℃になるとアラームが出る様にはしてあります。

RB-1の冷却塔の今の状態は機械側の冷水が十分に冷えた
ために機械が停止していてバイパスバルブもかなり開いた状態
で冷却塔への通水も最低のため冷却塔ファンも停止しています。
朝運転して一旦水が冷えてこれから店舗の開店を待つ状態で
こうなります。
営業開始を始めて冷房の機械を運転していては快適環境
とはならず苦情が出ますからね。


冷水温度が15℃なら十分冷たいと思われるかもしれませんが
配管を流れ空調機に到達するまでには熱損失があるので
たとえラッキングをしていても水温は上昇します。
熱源の出たとこで10℃として一番遠い空調機では写真の様に
到着した水は15℃まで上昇してるのがわかります。
冷温水発生機の冷水出口温度はこのビルの場合は10℃未満
でないといけません!(ビルの状況により異なる)
それと空調機冷水出口温度は入口温度より高くないといけません。
そうでないと熱交換してないので配管が詰まっているか熱交換器
の洗浄が必要となります。
一度業者が間に合わないので家庭用のエアコン洗浄スプレーを
10本使い洗浄したら回復した事があります。

冷房システムには圧力調整をする制御バルブが各所にあり
コントローラー(PIC)で開度を自動調整しています。
温度を制御するコントローラーはTICと言います!
これらは現場でよく使う用語なので技術者なら暗記してね。
設定を原則触る事はありませんが故障した場合は関係する
バルブが満足に動作しません。
設定圧力が2.8キロで現在地が1.8キロなので出力が100%
出てるのが緑の表示でわかりますがそれで正常です。
でも出力が10%とか出てないのは間違いなく異常です。
自動制御は設定と現在値の差が大きいほど操作出力が
増大
します。この差を偏差と言うのです。

上コントローラーの操作で制御バルブは開閉動作をします。
一般的に言う水や蒸気の制御バルブでは開度インジケーター
があるのでここで現在の開度を確認します。
下の場合だとSにあるので全閉状態がわかります。
バイパスが開放していけないタイミングで全開では本回路に
水や蒸気が通らないので冷暖房ができないと言えば意味が
わかると思います。
先輩にアソコの開度を見てこい!と命令されたらこの様に
携帯で撮り報告する様にされてください。

人間は時には見間違いをする生き物ですから撮って見せれば
間違いに第三者も気がつけます。
異常時にそれを見間違い損害まで至るとで大きな失態になる
事が多いのでそうされる事をお勧めします。
貴方が電気主任で入社したとしても当面はこうした現場機械の事や
システムはまったく無知なのですから先輩に"見てこい"と命令
されて腹を立ててる様では場の空気を読めてないのは貴方です。

現場で仲間に尊敬されるのは資格ではなく仕事ができる人!
命令されたくないなら1日でも早く現場のシステムを覚えましょう。
教えてくれないからわからないは一般社員の発言で電気主任
はドンドン自分で図面と現場を見て自力で習得しないといけません
★私が思う電気主任技術者の最大の資質とは自力で物事を
習得する能力があるかです。★

上司から"もっとしっかりしてくれ"と言われる事が継続すると
電気主任技術者の解任だってありえます。それが会社です。
常に自分の現場での成長を示すのが営業さんで言う成果で
ちゃんと見えないノルマというのは電気主任もあるんです。
資格取得だけでなんとかなると思ってる人は一流大学を卒業
して清掃員しか実際使い物にならない人に似ています。

事情でお見せできませんが同時に館内の共用部の照明の点灯
状況をPC画面で確認して照明がすべて点灯してるかの
確認も運転担当のお仕事です。

事務所エリアはそれほど苦情は言ってきませんが店舗部分
で照明がついてないと1分以内にテナントから連絡が来ます。
照明の制御は数が膨大なので事前にタイマー設定されていて
曜日事に自動で点灯、消灯されます。

話は元に戻りますが
運転中に冷温水発生機が何かの異常で停止した場合は
この赤表示が点滅状態となりアラーム音
が出ます。
ただこのシステムではそれが何の異常かまではわからない
ので至急現場に直行しないといけません。

前記事で説明した通り制御盤のとこでエラーコードが
出てるのでどういう状況で何をしていたのかと
エラーコードを業者に大至急連絡
を行います。
機械本体の異常ならばそれでいいのですが前述した様
に連動起動するはずの冷水一次ポンプや冷却水ポンプが
起動不能又は途中で停止した場合は事前にこちらで調査
が必要となります。

たとえば冷却水ポンプが起動しない又は途中で停止した場合
を例に説明すると制御盤の中に外線接続とのターミナル
がありますのでそこから起動出力が出てるかです。
下の図面から13と14番端子間のa接点がONになっているか
接続されてる2線を外してこの2点間をテスターで導通試験を
して導通があれば制御は正常でポンプ側の異常です。

これを確認せずに業者からそちらの設備の問題です。と
言われるのは電気主任技術者として恥なのでこの確認
だけはもちろん私が行いますが勉強会でも仲間に説明
してるので今は全員ができると思います。
通常関係してるのは11~16までの配線ですが接続される線は
制御シーケンスの途中からで200Vが片線にあります。
安全を考慮するならまず相手側の回路のMCBを切らないと
不慣れな人では感電する危険性があります。

それではどこの盤のどのMCBを切ればいいのか?
電気に限らず何がどこにあるのか場所をまず覚えておかない
と緊急時にそこに行けない、作業ができないためにいつまでも
仲間に負担をかける事になるので注意されてください。
特に貴方が目指すのは電気主任技術者なのですから
1年してもそんな状態ではリーダーから怒られます。
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