2015年8月30日日曜日

電気主任技術者 実務:変圧器の一次側LBSについて勉強会

昼からは新人の人と変圧器の一次側LBSについて勉強会
私が勤務する現場では受電した22000Vを6600Vにしてその電圧が
各電気室に送電されてこのLBSを通して各変圧器に充電されます。
正面の長いのが電力ヒューズ(PF)で短絡するとこれが切れて
変圧器を保護する、そして1個でもPFが切れるとこのLBS本体が
強制的にトリップします。
白いのはアークシュートといい切れた時に発生するアークを
閉じ込めて相間短絡を防止する物

変圧器を見た事がない方のために補足するとこれが変圧器上
で手前の線の細い方が6600V高圧側で奥の太い方が低圧側
でLBSは細い方の線に接続されています。
これは動力500KVA変圧器でよく見ると奥の低圧側の真ん中
に緑の線が接続されてる、そうS相が接地されています。
単相3線の中性点接地に似てるけど、この変圧器は二次側が
デルタ
なので二次側のどれかを接地します。(通常R相が多い)

この変圧器は二次側S相につながる配線なら充電部に素手で
触っても感電しないという理屈はわかりますよね?
この緑の線の電流量を監視して設定以上になるとLGR(低圧地絡)
が動作し中央監視室PCにこの変圧器の二次側にどれかの回路
において大量の漏電が発生したと伝えるんです。
その後の調査は業者ではなく電気主任技術者のお仕事です。

LBSの構造について話は戻ります。
この写真ではわからないのでPFを下から撮ったのがこれ
PFは溶断すると底からストライカーという小さな棒が飛び出す
その動きをワイヤで上のリミットSWに伝えるの。
これでこのPFが動作したのを検知して中央監視PCに警報
及びLBSの切り操作へ進行します。
(このLBSでは3本PFがあるのですべてにこれがある)
逆に言えばこのリミットSWを手で押してもLBSは切れるのは
わかると思います。

これがLBSの右にある信号端子台の状況です。
線番を見てそれぞれが何の配線なのか図面を見て
電気主任技術者はわからないといけません。

これがLBSの回路図です。
左下の電力ヒューズ溶断でONがリミットSWの事でそれがON
すると格PFX11~PFX13のリレーがONになるのは信号を追えば
わかると思います。
リレーがONすると上のa接点がONとなりLBSのトリップコイル
に電圧がかかりLBSを切るのです。

つまり1個でもPFが動作すればLBS全体がこれで切れるのです。
これが今の貴方が担当した実際の現場と思い、今一度端子台
の線番と図面を見比べてください。

この部分で故障が発生すると業者になる事が多いでしょうが
まったくこういうのがわからないと打合せかで恥をかくよ。
尚、PFを昨年私が勤務してる現場でもすべて取替しましたが
15年以上経過してるなら交換しましょう。
その時はリミットSWも動作テストして動きの悪い物の交換も
お忘れなく!これが動作しないと安全装置としてのLBSが
動作しないという意味ですから!

それとなぜLBS本体を切る必要があるのか?
回路において何かの原因で大電流が流れたのだからその相
のみPFで切れたらいいでは今度は変圧器が焼損します。
三相電源で稼動する機器は欠相すれば内部で短絡状態となり
焼けてしまうので3本すべての充電を瞬時停止が必要です。
三相モーターが停止状態で最初からマグネットのとこで
単相状態になっていたらどうなるか想像されてみてください。

今朝発生したトラブルを参考までに紹介します。
今朝7階店舗フロアーの照明が半分以上も点灯してないと営業より
中央監視室に動揺した電話があり職場の男性が現地に直行!
照明が点灯しないというのは一切の作業ができないので迅速に
対応しないとテナントに多大な迷惑をかけます。
しかも開店30分前ですから電気主任技術者は早急なる回復を
全員から求められるのです。わからないは通りません!

ちょうど私は受電設備の点検をしてるとこで携帯に連絡が来た。
"えらい事7階の照明が半分も点灯してないのですが?”
こういう場合まず何を考えるかというと照明のシステム!
1個、2個なら安定器か何かでしょうがまずそれはありえないので
7階のEPSにまず直行してリモコンリレー(RC)の状態を確認しました。
2箇所のEPSで計17個もRCが動作してない異常な事態。
通常はタイマー制御で開店までに時間差点灯させています。

原因はともかく売り場を点灯させないといけないので手動でRC
を強制ONさせて現地を点灯させました。
RCの表示のOFFを爪でONにすればいいいんです。
これだけ広範囲だとRCやそれを制御するTUではなく、間違いなく
フル2線の伝送ユニットから点灯のアドレス信号が出てないと直感。
又この状態になると照明タッチSWでも点灯させる事ができません。
(電気主任技術者 仕事65を参照されてくださいね。)
伝送ユニット交換が必要なのでパナソニックの担当に電話したら
同じ事を言われていたけど休日で部品手配ができないため月曜
まではEPSで手動でRC操作で照明のON/OFFをするしかない
重要設備は修理ではなく即交換しますがお金が発生するので
写真をつけた報告書を上司に必ず提出する必要があります。

去年こういう事が発生したらいけないと思いすべての階のRCにおいて
昼間動作してる物としてない物を調べて昼間以外の物には目印
をつけておいたんです。だからすぐに対応できたんです。
照明に限らず重要設備はそれが発生したら自分が困ると思われる
事は事前に調査、研究しておきましょう。
最初に説明したLBS回路を理解しておくのも同様です。
理屈を知っていても現場を研究してない人は仕事では使えません。
でも理屈を無視してたら思わぬ事故を起こす可能性あります。


ただ上でRCを手動投入する時に冷静になり切れた状態のRCの
全体状況を最初に写真で撮っておいたの
慌ててRCを手動ONさせると後でどのRCが動作してなかったのか
たぶんわからなくなる。
それしだいでTUの点検も念のためできるし、報告書を作成する時
にはどのRCが動作してなかったかを記載する必要がありますが
ここで困る事にもなります。
報告書は自分がわかるからいいだろうではなく上司が納得できる
物でないといけません、それが会社です。


今の上司は元1級建築士だった人で文章や内容に細かいので
かなり私も神経を使います。
確かに電気の事はその人わからないんだけど技術者としての
行動とかどうせわかないとズルするとその人だけは私を見抜く。
私以外の他の担当の方もけっこうピリピリしてます。
(馬鹿やろう!なんて私も怒られた事ありますから)
ある程度規模の大きな現場では電気主任と言えど担当の
一人だからもしそういうとこで働く方は気をつけてね。

★7F照明トラブルの話の続き★
休みが明けて業者が伝送ユニットがある制御盤の点検をして
翌日見積もりを持ってきました。
あれ100万円を超えてるじゃない?
"ええここの場合は特注で施工したので納期に40日かかり
この程度はもらわないと取替工事できない。"との事でした。
確かにこうしたフル2線は8年を過ぎた頃からああした不調
が出る傾向にあるみたいですね。
劣化が進行すると今度はどの階の照明でも同じトラブルが発生
する可能性がある
ので交換はやもうえませんね!
こうした事を上司に報告するのも電気主任技術者のお仕事です。

ただ業者が120万円で持ってきました。よろしくではありません。
会社だっていろいろ質問してきますから自らもある程度は
この装置の理屈を知っておかないといけません。