2015年7月22日水曜日

電気主任技術者 仕事 高架水槽制御&オムロン61Fリレー

前回私の現場の給水設備を紹介したけどもっとも広く採用されてる
オムロンの61Fリレーを使用した給水方式を今日は紹介します。
パーツの価格が安く10年以上ほとんどトラブルなしで使用できる優れ物!
貴方がビルや工場の電気主任技術者を目指す場合にかなりの確率
でこの方式に遭遇する事になるのでここで基本を学んでおきましょう。
まずこれは電源部といくつかの61Fリレーで構成されています。
受水槽+高架水槽方式の給水方式で採用されるのが61F-G4
方式で電源部と5個の61Fリレー、MK3Pリレー、本体回路からなります。

まず基本として1個の電源と1個の61Fリレーから構成される単純
に水槽に水を入れるだけの方式から
右のタンク水位がE2より下がるとポンプが運転されて給水を開始
してE1まで水が入ると停止する方式です。
(これには満水や減水時の異常を知る仕組みがありません)

S0が電源Rに、TcとS2が電源Tに、Tbがマグネットのコイルに
接続されます。
Tcの上のSWがONになる事でTbよりマグネット(MG)の片方のコイルに
給電される事でMGが投入されポンプが運転状態になるの
200VをS1に接続すると電源一次コイルの100Vタップに200Vを
かけてしまい焼くので注意!
又E1~E3が水槽の電極にそれぞれ接続されます。
E3には槽内の一番長い電極を接続してこれはコモン電極
といいこことE1又はE2間で信号のやり取りがされる。

制御異常が発生した場合はまず電極関係の配線異常がないか
次に61Fリレーの交換すればたぶん復旧する事がほとんど。
ですがTcの上のSWが故障したならこのユニットの交換が必要に
なるでしょう。
このタイプなら交換してもパーツ代1万円程度なので調子が
悪ければユニット交換してしまえば済むだけの話です。
こういう電子的なユニットは開放してどうこうする物ではなくて
故障したら取替が基本です。(蛍光灯の安定器と同じ感覚)
ただ前述した通り200V電源では絶対にS1に接続しない事。
尚DC電源でなくAC24Vを採用するのは電極の電腐という現象を
避けるためにACが採用されてるのは知っておいてね。
この61FリレーだけをNETでも購入もできるんです。


次に実際にビル、工場にある61F-G4方式の回路図を紹介します。
このオムロンの水位制御方式は相当多くのビル、工場で採用され
てる定番の方式で貴方がこの方式を研究して習得するにはこの回路図
が必要でこれは保存して持っておいてください。

まずこれの動作だけを説明すれば高架水槽の水位要求により
給水ポンプを運転停止させるのは最初の方式と同じ更に高架水槽
が満水や減水になると警報を出す。
その他渇水まで水位が下がると2台運転して強制的に水を入れる。
(給水ポンプは2台あり通常自動交互運転をする)
受水槽の満水、減水警報を出す、ポンプの空転防止機能。

上の図で言えば給水源つまり受水槽内部の電極がこれ
一番長いのがコモン、次がポンプ空転防止、その次が減水で一番
短いのが満水警報の電極です。
ポンプ空転防止より水位が下がるとポンプがエアを吸込み揚水が
できなくなるので電気的にポンプを使えなくさせます。
槽自体はFRPだけど電極は常に湿度100%状態なので長年使用
で腐食してきますから折れたり、断線する事もありえるでしょう
そうなればその部分の機能は動作しません。
動作異常では最初に電極の状態を確認してください。
一番長いコモンの電極が飛ぶとすべての機能がDownする
のだけは覚えておいてくださいね。

これはこの電極の反対側の線の接続部(電極ホルダー)
管理状況が悪くここの清掃すらしない現場では槽内の水分により
腐食して断線もありえます。
こういう水槽の周辺は常に湿度が高いのを忘れてはいけません。
清掃も大切な電気保守管理の術の一つである事を忘れてると
錆による断線や汚れによる漏電でこれに限らずいろんな電気トラブル
に急に遭遇しますよ。

水槽設備の警報点検は毎月されてください。
わざわざ水を抜く必要はないので盤内部の各電極線の
引き出し元のターミナルで行えば十分です。
タンクの上は滑ったりして転倒もありえるので上の電極ホルダー
のところではしない方がいいです。
(61F-G4ユニットのある同じ盤のたぶん左側にあると思う)
下写真の場合だと青の線を抜けば減水警報、赤と黄を短絡
すれば満水傾向が出せます。
施工図面を見てそれがどの線か線番で確認してくださいね。
ポンプ電極起動テストするのであれば高架水槽行のコモン
とON端子を短絡すれば後はOFFまで水が入れば自動停止します。
この時自動で停止するというのもきちんと確認する事。

こういう点検がきちんとできてる間はユニットも正常なはず。
(15年以上も経過する古い物はこの限りではありません)
又急なトラブルが発生しても点検は普段からきちんとしてると
主張もできるんです。
何もしないならただ資格者がいるだけの無人ビルと同じ。
私は受水槽に限らず汚水槽、自家発水槽など槽は全部します。
(排水関係の槽には減水警報はありません)
トラブルが損害に至ると上司から普段どういう管理をしてるのか?
経年劣化です。と返答して"はい、そうですか”と納得する上司はいません!
それはきちんと点検管理してる人だけが上司に言える事なんです。
管理不足が連続すると電気主任技術者解任・変更も検討するのが会社です。
貴方の頭の中の博学なんて関係ありません。

制御関係の故障ではたとえば高架水槽の満水警報が出ない場合
はE4の配線を目で追ってみてください。
U4の61Fリレーに入っているのでこの場合ならば電極の断線が
なければこのU4のとこの61Fリレーを交換すれば直る可能性が
極めて高い事になります。
61F-G4の細かい回路の動きがわからなくてもつながりを追う事
で関係してるかの検証ができるので上の様な接続図は必要。
ただ取扱説にはここまでの詳細図は載っていません。
メーカーsiteの技術資料でしか手に入りません。

高架水槽方式ではそこから館内に水を送るのでそこに水がある
ならいいのです。
今どうしても自動運転が無理なら強制的にポンプを手動運転すれば
それが可能となり、使用により水が減ったら再度同じ事を繰り返す
事で貴方が修理できないなら誰か助けを待つ事はできます。
昼間なら15分に1回は手動運転をしないと館内は断水となるでしょう。
★工場、病院、飲食店で断水は絶対に許されません★
テナントビルでもトイレが使えなくなり相当の苦情が出ます。

私も父が電気主任をしてる工場に勤務してた頃はこれがあちこち
で採用されていました。
何度か制御が不安定な事があったけどこの61Fリレー交換ですべて
回復できました。ただユニット交換もありえます。
このシステムがある場合は在庫として61Fリレー2個程度と
MK3Pリレー、61F-G4ユニットを緊急対応用に常備すれば完璧。

父がこの61F-G4方式ユニットを交換した事があり自分でしたら
パーツ代のみならNETで3万円しないと言っていたので経年劣化
が予想されるならば事前に交換しましょう。
特に導入から15年を経過した物だと電源部分不良とかも
あるのでそろそろ一式交換時期でしょうね。

正確にはこの61F-G4方式ユニットはNETで25000円程度!
業者に出せば作業工賃とか入れたら最低10万円はかかるでしょう。
自動制御関連の技術員を修理目的で呼ぶと一人5~7万円は
この業界では常識で人件費こそ彼らの稼ぎネタなんです。

だからこそ
貴方の腕前を職場の仲間に見せる絶好の機会では?
ぜひ上司に進言し会社で購入して、取替を挑戦されてみてくださいね。
まともな上司ならコスト削減とトラブル予防に有益と判断するはず。
こういう周りの方ができない事をしてこそ信用は高まり貴方は職場で
便りにされる電気主任技術者として皆さんに認められます。
"資格があるんだ。"を語るならそれで何ができるのかを時には
示さないと貴方の言う事を本気で聞く人はいません。

外した配線がどれがどれだったのかわからなくならない様に事前に
マーキングしておくのが大切です。
施工図面で線番でわかりはしますが初めてこういう事をする人に
そんな余裕はないでしょうから自分が一番よくわかる事前準備
をする
のがこういう交換作業には大切だと思う。
(後取替時は必ずこれの制御電源をOFFにしておく事。)
完璧に取替できたなら大きな自信となりお勉強では絶対に
得られない経験というスキル
を初めて体験できますよ。
失敗したりできないと怒られる?.....そうかもしれないけど
それを超えて残れる人をプロと言うんじゃない?

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