2015年3月12日木曜日

漏電遮断器と接地の有効性

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漏電事故が発生すると漏電遮断器について職場でも質問を受けました。
電験資格を持っていると言っても現場でいきなりそういう質問を
受けると返答に困る人は多いでしょうね。まず設置基準はこうです。
簡単に言えば金物の箱に入っていて使用電圧が60Vを超える電気機器
には設置しなさい
という事です。

ですが免責事項があり無理に設置しなくてもいいのはご存知でしょう。
ビルで電気主任をする場合では青線の3個だけをとりあえず覚えて
おけば困る事はありません。
飲食以外の水周りのないテナントではELBはなくてもいいのです。
実際私がこの現場に着任して飲食以外のテナントでは漏電事故は
一度もなく
なくても相応の安全はあるというのは実感できます。
ただそうであっても分電盤主幹がELBになってるテナントもあります。

時々厨房でMCB回路に厨房機器を接続してるケースがあります。
完全に水気があるのに?と私もこれは当初疑問に感じました。
業務用厨房機器には機器の中に標準装備としてELBを内蔵している
からMCB回路に接続できると理解しました。
保安協会にその件を質問したらやはりそうとの事です。
某製氷機メーカーの回路を見たら確かにELBを内蔵しておりメーカー
もその程度の事を考えて設計するのは当然ですよね。
これは食器洗浄機電源回路でELBが機器内部に確認できます。

漏電事故が発生した場合は漏電遮断器の管理はどうなっているのか?
とオーナーや上司から質問された場合、どこのテナントがどうこうと
細かくは実際誰も覚えてなんていません。
ただそれでも"わかりません"という返答をすると"電気主任がその
程度だからこういう事故が起きるんだ”とねずみがかじった事故
まで管理が悪いと言われるかもしれません。
電気主任はわからないという返答は絶対にしてはいけません。
難しい電験の理論を職場で質問される事は一生ないですから
電気屋として私が書いてる程度は知っておきましょう。

接地も知っておかないといけませんが変圧器B種接地なんてオーナー
や上司は知りませんが機器接地については誰もが知っているので
その意味とか質問される事はあります。

ここで系統接地をB種、機器接地をD種とします。
ビルでテナントでよく問題になるのがこのD種接地です。
単相三線式は100Vだけでなく単相200Vも対地電圧は100Vです。
尚、★ELB設置を省略できる環境ならば接地も省略できます★

大昔は機器接地はなかったつまり非接地で使用されていました。
その状態での感電では線路にある分布容量により人体を通じて回路
を構成しますがその量が少ないので人体通過電流も少ないのです。
実は低圧側での感電では非接地が一番安全なのです。

ですが変圧器内で高圧が進入する故障が発生すると制限なく対地
電圧が上がるためその場合でも対地電圧の上昇を150V以下にする
ために変圧器低圧側を接地するB種接地がされる様になったのです。
そうなると低圧側で漏電が発生した場合の外箱に発生する電圧は
E×R÷(R0+R)は電験三種を勉強される方は知ってる通りです。

これら抵抗値が最高にバランスよく施工されるなら低圧漏電でも
電圧上昇を安全範囲で抑える事はできます。
ただ常にそれを満たすのは至難との事でそうなると接地を必要と
する場合はELBで早急に回路を遮断する必要があります。
結局両方がある事で人が触れる前にELB動作するので感電する
事故は防げます。


家庭の場合でも洗濯機に面倒だから接地をしてないケースもある
でしょうが確かに家の場合は主幹がELBですから内部の電気が外
に漏れる間接漏電事故が発生すると主幹が切れはします。
ですが接地をしておけば人が触れる前にその接地を通じてELBが
動作しますから一瞬の人体感電もないのです。
つまり★ELBと接地はペアで施工されるべきなのです

ELBのみの設置ではそれの動作きっかけは人体の感電ですから!
もしテナントから質問があればELBが必要なら接地も忘れずに施工
する様に指導しておかないとわずかの一瞬のビリビリでもオーナー
に苦情を言われかねません。
通常人は1mAの人体感電から電気を感じ始めます。

以上述べた程度を知っておけば一般の人相手なら貴方は電気博士
とにかく質問されて素人の人と同じでは電験合格も疑われますから
覚えておいてくださいね。
ELBや接地は一般の方には一番身近な電気なのですから!

違う支店ビルで電気主任になったばかりの方が今月から
私のとこに勉強に来ているの
私より年上の40才の男性なんだけど年齢は関係なく私の
後輩になるなら新人さんと同じレクチャーを受けてもらった。

2階の空調機動力盤を開けて運転中のマグネットがあります。
もしここに触れたらどうなると思いますか?と質問。
私が指で触れて何ともないのでビックリされていました。
Sさんは"なぜ何ですか?"と当然質問されました

後はSさんがモデルとなり実験を紹介します。
そうSさんが触れても感電なんてしない。
マグネットの頭が入ってるから確かにここに三相200V
がかかりR-S,S-T,T-R間200Vでモーターは正常回転
しています。不思議ですね?

これは第二変電室のそこに電力を送る500KVAの三相動力変圧器
これは22000V⇒6600Vと変性した後に6600V⇒210Vに変換
する機器です。
今度はこの真ん中に素手で触ってもらいました。

Sさんが"ここはヤバいんじゃないですか?"と即反論!
同じ様に最初に私が触れて感電しないのを示して彼にも体感して
もらいました。
"あ~あそうか接地ですよね。でも頭でわかっていてもそれが正しい
というのを体で体感したのは今日が初めてです。
こういう実技授業まであるとは予想してませんでした。"と言われました。

この変圧器は動力ではなくて単相三線式500KVAの変圧器
でこれはB種接地のある真ん中のみ感電はしません。
但し三相変圧器は必ず真ん中の接地とは限らずR相かS相の
場合もあるので注意してください。

OIL式変圧器は本体が鉄製でそれを接地してあり0電位なので
実は本体に触れても感電はしません。
つまり低圧部分で検電器が十分に動作する環境でそれが点灯
しない部位は人が触れても感電しないという事です。
ただ★油のないモールド変圧器は本体に触れてはいけません★
あれは表面が樹脂みたいな材質で帯電してるので危険です。

接地盤の中にある各接地極も0電位なので感電しません。

接地の0電位について体で体感してもらうためだったけどこれは
管理状況がきちんとしてる現場だからできた事であって管理状況
の悪い現場ではこういうこうい行為は厳禁!
もちろん基本こういう場所には触れてはなりません。
でも"100%自分の理論が正しいと思えるならばその行為をする事
に迷いがあるのはおかしい"のが私の常なるポリシーです。
自分が正しいと思える事には命さえ私はかけれます。