2015年3月10日火曜日

電気主任技術者 モーター故障対応

絶縁管理とモーター関係の故障対応は電気主任技術者として一番
有りえるトラブル
で特にスターデルタ起動方式はどんな工場、ビル
でもあるのでこれから電気主任を目指す方は絶対に習得して
おかないといけません。
これは私が管理するビルに入居してる飲食店舗の排気ファンで
最近逝ったの!自主管理され厨房のお兄さんがベルト交換をしたり
グリースも入れておられ一般の方にしては管理は良い方です。
(店舗財産は店側がするかお金を出して誰かにしてもらうか?)

そうなるとモーターの絶縁測定をすると電気屋さんにとっては
悪夢のこんな状態となります。0Ωですね

もう取替しか解決策はありませんがこれがモーターの臨終です。
運転時間も長く経年劣化の寿命でしょうが本当はモーター温度や
騒音などで事前に兆候が出てたはずなんです。
排気ファンが停止するとガスが使えない様になってるので2日店舗は
営業を停止され売上被害も相当だったみたいです。
この件でモーター交換と今後の保守管理のお仕事の依頼を受けました。

一般仕様のモーターでは表面温度が85℃を超えたら要注意で
95℃まで行けば取替を検討
する必要があると思います。
内部の絶縁階級がE種で120℃限界で業者によると表面で20℃程度
下がるため100℃が限界温度と判断します。
(通常の表面温度は屋外で30~40℃、屋内で40~60℃程度)

ここまでは稀であってもモーター故障で運転できない場合は動力
のため営業、生産活動が停止するため迅速な対応が必要です。
まずは回路図で電圧、電流の特性を学習しましょう
スター回路で電源電圧をルート3分の1にして起動させて10秒
程度したらデルタ回路に変更して今度は電源電圧で起動させる!
電圧をルート3分の1にするとトルクは1/3となり電流も1/3
になる
ので起動電流を制限するのがスターデルタ起動方式。

だけど実際に現場に着任して"電気主任さん機械が動きません"と
言われてこういう回路、配線を見てさっとわかりますか?
これを見てピンとこなくては故障時対応はまったくできません!
(私が管理する現場にある物で説明しています)
図面を見ながら実物の状態を目で追っていきましょう。
これで理解できてこそ使える技術と言えると思います。

故障が発生してすべて業者に修理してもらう様な現場は稀です。
彼らに依頼すると高額な費用が発生するわけでオーナーとして
は少しでも現場の電気主任が処理できれば助かります。
故障したら連絡するだけなら貴方でなくてもいいわけです。
最低限言えるのは前任の電気主任が修理できていた事は貴方も
できないとそういう愚痴を言われる可能性があります。
電気の管理の質が低下しては貴方を雇用した意味がないでしょう?
できれば修理をある程度できてこそ電気主任技術者の存在価値
を職場の皆さんは認めてくださいます。

NETとかの説明ではスターとデルタ回路動作を重複して説明
してあり初心者の方には理解し難いので私なりに解説を
してみました。
スター回路のみで回路を実線で書いたのがこれです。
デルタマグネットは切れているため考えません!
モーターコイル電圧Vが電源電圧Eのルート3分の1になるのは
わかると思います。
目で配線のつながりを追って上の写真と必ずリンクさせながら
確実に納得しましょう。

次にデルタ回路のみで回路を実線で書いたのがこれです。
スターマグネットは切れているため考えません!
たぶんデルタ回路の実際の接続がわからない方が多いと思います。
モーターコイル電圧Vは電源電圧Eと等しくなりますがコイル電流I2
は電源電流I1のルート3分の1になります。
これも上の写真とリンクさせながら確実に納得してください。

上で配線の状態が理解できたばらば制御その物を勉強します。
起動押しボタンを押してからの信号の流れを記述していき回路
動作を研究します。
私の現場ではこの回路部分が電子回路化していて単体でこれらタイマー
やリレーは存在していませんが現場の回路は設計者により微妙に異なる
ので自分が着任した現場の場合を研究しましょう。
ただスターデルタ起動方式の基本としてこの回路動作を追えないと
故障した場合ではまったく手が出せません。
ただこれに近い状態のパーツにより構成されたシーケンス回路を
現場に着任したら扱う事になる方がかなりだと思います。


スターマグネットとデルタマグネットは互いのb接点を相手の起動回路
に入れる事で同時には投入されません。(ピンク部分)
赤字が前半のスター回路の動きでタイマー時間T経過後が黒字デルタ回路
投入の動きとなります。
このシーケンスではデルタ回路が先にONする事でメインマグネットが後から
ONされて通常運転となります。
何か回路故障が発生したら★動きをこういう感じで順番に書いて考える★
のが故障特定のための最短距離なんです。

まったく最初から起動しない場合はTHRが動作してないか?してればメガ測定
で絶縁確認をして異常なければリセットで正常復帰するはず。
THRでなければOFFボタンをジャンパーしてONボタンを押す⇒タイマーRT接点を
ジャンパーしてONボタンを押す...これのどれかでまず起動するはずです。
(ジャンパーとは線で2端子間を短絡させる事)
ON/OFFボタンは押した一瞬しか動作させないし、メインマグネットのコイル断線
も稀なのでタイマーRTの故障が一番可能性が高いでしょう!
タイマーRT接点をジャンパーしてONボタンを押すで起動したら確定です。
ただ上操作ではメインマグネットがONのままとなりスター回路が切れないため
デルタ回路にはなりませんがこれは故障ではありません。

右の時計みたいなのがそれで秒タイマーです。
交換はマグネットの様に配線の外しは不要のプラグインです。
ただ在庫として買ってないとYamada電機などには売ってないので
電材屋で事前にオーナーに説明して買ってもらう必要はあります。
自分の仕事を円滑に進めるには普段の準備も必要です。

スターデルタ起動方式で多いトラブルは上で説明した切替タイマー
以外でマグネットやリレーなどの接点不良により故障になります。
実際されてみるとわかりますが電気工事士の実技試験に合格できる
つまり誰でも練習すれば相応に交換ができるのです。

1.この状態で全体をスケッチする
2.外す配線に番号を自分で決めて配線に貼る
3.スケッチした線にも同じ番号を記載する。
4.交換する
5.3のスケッチを見ながら配線をする。
シーケンスを見れば線番がありますが稀にしかしない作業では
配線の位置をわかる様にしておく事で間違いは防げます。

簡単に言えば以上の方法で日常大工の腕前で交換はできます。
とにかく現場の電気主任技術者になりそういう交換が必要に
なったらご自身で上司に進言して取替に挑戦されてください。
しない事にはいつまでたっても連絡係しかできません。

テク的な事で言えば交換するにも物がないと作業はできません。
とりあえずの応急処置としてマグネットのコンタクターを抜いて
磨く事で運転再開できる事も多いのです。
10年以上経過してる物は後でマグネット交換された方がいいとは
思います。

長年の使用で接点表面がこういう状態になります。
ただこの機械は365日使用ではないため劣化進行は軽い

紙やすりなどでこすればキレイになります。
この程度ならば磨けばこの接点に関してはいけると思う。


新しい現場では私の現場と同じ様に俗に言う★BlackBOXという
電子制御で動いてる現場も多いでしょうね★

実はこれに故障が発生した場合に困る場合があります。
この場合では動作不良時はそっくり制御ユニット交換が必要です。
(今の現場のユニットは取付した後にパソコンで設定しないと動作
しないので業者しか扱えない不便な物
)
しかも手動も電子制御なのでまったくモーターが動かせなくなります。
少しばかり停止が可能な機械なら止めておいて業者連絡という方法も
ありますがそれが無理ならどういう方法をしても今モーターを稼動
させないといけません。

あくまで応急処置として私はこうしています。
制御基盤の配線を外してマグネットのコイルに直に電圧をかけて
あげればモーターは運転できます。
モーターの起動・停止はMCBでしばらく行えば利用者に迷惑はかけません。
これはスターデルタでない5.5KW以下の直入れモーターです。
これが良いか悪いかではなくて特に工場などでは生産ラインを止めて
はいけないので電気主任はなんとかしないといけません。
そのために電気主任技術者はいるのですから!

ではスターデルタ起動ではどうしたらいいのでしょうか
制御ユニットが壊れてるのだから動作させる回路がありません。

あくまで私の経験で言えば前に業者が11Wの排気用モーター交換を
夜中にした時にスターの短絡金具の取付を忘れた事がありました。
通常は遠隔で朝1で起動して昼間巡回時には正常運転していた
ので誰も気がつかなかったのです。
約半年もスターデルタのモーターは直入れで運用していました。
発見後にすぐ修理しましたがこの程度までなら負荷が軽いなら
過電流トリップせず起動できるんだというのを私は知りました。
(接続される負荷機器によるのでどこの現場でもとは思わない)

その前例において11KW程度なら緊急時はデルタの直入れで
それ以上なら起動も通常もスター回路で緊急時は考えています。
ただスター回路運転では電流値が上昇するため温度がデルタ
の時より上昇しますが限界手前の90℃まで許容するなら
ある程度はいけると思っています。
その後に業者に連絡してユニット交換を大至急させます。
下はいきなりデルタ起動にする場合です。

ただモーターに接続される負荷の要求始動トルクが大きいと
いきなりデルタでは過電流でトリップするのでその場合は無理!
あくまでここでの話は人の力で手回しで軸が回転する様な空調機
や排気ファンの様な機械についてです。(つまりビル設備)

スターデルタの起動ユニットを板の上で自作しようかと計画
もしてはいます。

本当はここまでしてこそ本当のあるべき解決策なのはわかっています。
マグネットは既存回路を使うので様はタイマー回路と配線だけだから
それほどコストは必要とはしません。
最初にあの回路で検証すれば運転、停止させるのに7点の接続
が必要になります。
配線は図面を見ながらすればそう難しいとは思いません。

これを40cmくらいの板の上で作成しておけばどんなスターデルタ
回路でも問題なく使えますよね。
緊急用だから普通の線で接続すればいいわけでタイマー込み
で1万円前後で製作できると思います。
父に相談したらその程度なら工業高校の3年生で好きな奴なら作る
と言っていましたが私も電気主任ならけして難しい課題ではないと思う。
仕事って何をするのでも面白くないとやりがはありません!
こういう物を作ったりいじるのは私はダイスキです。

業者に依頼すれば15~20万円くらい、たぶんもっとかかるかも?
私の楽しみを他人にさせたくないので今度会社に提案書を出します。
これがあれば完璧に応急対応ができます。

エクセル上で少し作図してみたけどこういう感じで押しボタン2個
と該当するタイマー、配線、端子、絶縁性のある回路を収める箱
があれば模型工作レベルで誰でも絶対できます。
配線や素子の接続はハンダづけで行います。
今気がついたけど弱電ではないから電源とこに2P2Eの小MCB
を入れる必要があります。
きちんと組立てたら間違いなく正確に動作します。
電気を職業にしたい人はこういう電気工作が好きなはずですから
私と同じ様に製作してみたいと思う方はいると思います。


もしもタイマーにa接点がない物を使うならば別にタイマーRTの
とこにa接点のあるリレーをパラで接続すればOKです。
それでONボタンの横を自己保持すればいいのです。
これがないとONボタンから手を離したら回路が停止してしまいます。